ホテル ポラリス  彼女と彼とそのカレシ?

7 『私、失敗した?』

「多恵、どうして泣いているの?」

朝靄の泉で両親は微笑んだ。

これは夢なのだと、多恵にはわかっていた。なぜなら両親が見つめているのは、泉の畔にしゃがみ込む幼い多恵だったからだ。

「怖い夢を見たの?」

母が訊ねた。多恵は首を振った。

「寂しいのかい?」

父が訊ねた。多恵は首を傾げた。

「大丈夫、僕がここにいるよ」

振り返ると、森は霧散して、靄の中に玲丞の笑顔が現れた。
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