ホテル ポラリス 彼女と彼とそのカレシ?
玲丞は俯く多恵の頬に手をやり、ゆっくりと押し上げた。そして真っ直ぐに多恵の目を見た。
「僕と結婚してください」
多恵の瞳から一粒の涙がすうっと流れ落ちた。
「あんなに酷いことを言ったのに?」
「本心じゃないってわかってる」
「早とちりで酒癖が悪いわ」
「だから僕しかつきあえない」
「これからもあなたに我が儘ばかり言うわ」
「僕を愛しているからでしょう?」
うんと多恵は素直に頷いた。
「結婚しよう」
「はい」
玲丞はほっとした笑みをこぼすと、多恵を子どもごと抱き寄せようとして、はたとホールの扉に目を向けた。
ドアガラスの向こうからいくつもの笑顔が重なるように覗いている。
にっこり頷く玲丞に、待ちかねたとドアが開き、
「おめでとうございます!」
「コングラッチュレーション!」
菜々緒と大和の笑顔の横から、パンとクラッカーが鳴った。
驚いた多恵が子どもを庇うのを見て、秋葉と紗季が純平の頭をゲンコツで叩いた。
その背後では、伊佐山がぎゅっと顔を顰めて涙を堪えている。
祝福に囲まれ、面映そうな幸せな笑顔に、玲丞は耳元で囁いた。
「もう何があっても迷わないよ。僕にとって、君たちがポラリスだから」
─ 完 ─
「僕と結婚してください」
多恵の瞳から一粒の涙がすうっと流れ落ちた。
「あんなに酷いことを言ったのに?」
「本心じゃないってわかってる」
「早とちりで酒癖が悪いわ」
「だから僕しかつきあえない」
「これからもあなたに我が儘ばかり言うわ」
「僕を愛しているからでしょう?」
うんと多恵は素直に頷いた。
「結婚しよう」
「はい」
玲丞はほっとした笑みをこぼすと、多恵を子どもごと抱き寄せようとして、はたとホールの扉に目を向けた。
ドアガラスの向こうからいくつもの笑顔が重なるように覗いている。
にっこり頷く玲丞に、待ちかねたとドアが開き、
「おめでとうございます!」
「コングラッチュレーション!」
菜々緒と大和の笑顔の横から、パンとクラッカーが鳴った。
驚いた多恵が子どもを庇うのを見て、秋葉と紗季が純平の頭をゲンコツで叩いた。
その背後では、伊佐山がぎゅっと顔を顰めて涙を堪えている。
祝福に囲まれ、面映そうな幸せな笑顔に、玲丞は耳元で囁いた。
「もう何があっても迷わないよ。僕にとって、君たちがポラリスだから」
─ 完 ─