ホテル ポラリス 彼女と彼とそのカレシ?
こんな調子だから、二年前にGMが知人の紹介だと彼女を連れてきたときには大変だった。
些細なことで機嫌を損ね、それを秋葉がよせばいいのに茶化すものだから、いつ厨房に包丁の雨が降るかと、毎日ハラハラドキドキしっぱなしだ。
二匹の猛獣を両腕として従えている伊佐山の人徳もすごいけれど、その二人に何気に可愛がられている純平は、ある意味大物なのかもねと、皮肉屋の菜々緒に褒められても、どう捉えてよいものか考えてしまう。
いつも愉しそうでいいなと大和は羨ましげに言うけれど、誰からも好かれてしまう(いじられてしまう?)天然キャラの彼とは違い、こちとら空気を読んで立ち回っているのだ。
「グラン・シェフ、今夜のメニューを確認させてください」
伊佐山の手が初めて止まった。
デシャップの向こうに、予約表に目を落とす多恵の姿があった。
テレビで観るより実物の方が数百倍も別嬪だと、純平は思う。
きゅっと締まった足首、華奢な体にDカップの美乳は若者には目の毒だ。
いつもクールで厳然としているけれど、ふとした笑顔はめちゃくちゃ可愛い。
何と言っても、潰れかけたホテルを一年で建て直したのだから、外資系コンサルタント会社勤務の経歴は伊達ではない。
厳しいコストコントロールで見せた経営手腕も、次々と打ち出す新しい営業戦略も神業だった。
何よりも、ゼネラルマネージャ自ら経理、営業はもとより、セルヴーズにソムリエ、ルームキーパーから庭の手入れまで、八面六臂に活躍して人手不足を補う姿勢が、従業員たちの心に響いたのだ。
それ以前に、フェルカドのコックも含めてはしこいスタッフたちはすでに転職していたのだから、必要に迫られてのことだろうけど……。
実は秋葉にも、伊佐山の説得を条件に黒川興産からの引き抜き話が執拗にあったと聞いている。
そのたび彼が冷笑をもって一蹴するのは、いかな高額報酬を提示されようとも、伊佐山がポラリスを裏切ることは絶対にないと確信しているからだ。
些細なことで機嫌を損ね、それを秋葉がよせばいいのに茶化すものだから、いつ厨房に包丁の雨が降るかと、毎日ハラハラドキドキしっぱなしだ。
二匹の猛獣を両腕として従えている伊佐山の人徳もすごいけれど、その二人に何気に可愛がられている純平は、ある意味大物なのかもねと、皮肉屋の菜々緒に褒められても、どう捉えてよいものか考えてしまう。
いつも愉しそうでいいなと大和は羨ましげに言うけれど、誰からも好かれてしまう(いじられてしまう?)天然キャラの彼とは違い、こちとら空気を読んで立ち回っているのだ。
「グラン・シェフ、今夜のメニューを確認させてください」
伊佐山の手が初めて止まった。
デシャップの向こうに、予約表に目を落とす多恵の姿があった。
テレビで観るより実物の方が数百倍も別嬪だと、純平は思う。
きゅっと締まった足首、華奢な体にDカップの美乳は若者には目の毒だ。
いつもクールで厳然としているけれど、ふとした笑顔はめちゃくちゃ可愛い。
何と言っても、潰れかけたホテルを一年で建て直したのだから、外資系コンサルタント会社勤務の経歴は伊達ではない。
厳しいコストコントロールで見せた経営手腕も、次々と打ち出す新しい営業戦略も神業だった。
何よりも、ゼネラルマネージャ自ら経理、営業はもとより、セルヴーズにソムリエ、ルームキーパーから庭の手入れまで、八面六臂に活躍して人手不足を補う姿勢が、従業員たちの心に響いたのだ。
それ以前に、フェルカドのコックも含めてはしこいスタッフたちはすでに転職していたのだから、必要に迫られてのことだろうけど……。
実は秋葉にも、伊佐山の説得を条件に黒川興産からの引き抜き話が執拗にあったと聞いている。
そのたび彼が冷笑をもって一蹴するのは、いかな高額報酬を提示されようとも、伊佐山がポラリスを裏切ることは絶対にないと確信しているからだ。