こじらせハイスペ御曹司に、プロポーズ(!?)されました
5話 いざ、初デートへ
〇車内(夜)
深刻な表情で、後部座席に乗っている游。
運転席で、心配そうに游を見ている松本。
松本「游さま……どうされましたか?」
游「いや……」
游「俺……あいつのこと、好きだったんですね……」
松本「えっ」
松本「ず、ずっとそうだったのでは……!」
松本「だって、じゃなければプロポーズもしないはずで」
游「そうか……そうですよね」
游「俺は彼女を……好きだから……プロポーズをした」
言うほどに真っ赤になっていき、頭から湯気が出てくる游。
松本(ようやく、自覚なさった……!)
游の成長に、親目線で涙がちょちょぎれる松本。
游「松さん」
松本「はい!」
游「こういう時、男は……どうしたらいいんでしょうか?」
松本「えっ」
松本「そ、そうですね……」
人生の先輩として、ぐっと背筋を伸ばす松本。
松本「たとえば……デートに誘ってみてはどうでしょう?」
游「デート」
真顔ながら、キラーンと游の目が光る。
松本「といっても強引にではなく、さりげなく、游さんのお気持ちをお伝えするようなつもりで……」
という松本の言葉は耳に入っておらず、一人考える游。
游(デート……デートか……)
〇咲良のバイト先のファミレス・外
日曜日――。
咲良「おつかれさまでしたー」
私服のTシャツ短パンといったラフな姿で外に出る咲良。
通行人たちが、頬染めで何やらひそひそと駐車場の方を見ている。
そんな様子に「なにごと?」と思いながら通り過ぎようとする咲良。
そこで待っていたのは、夏の花の花束を抱えビシッと正装しているイケメン度マックスの游。
游「待ちくたびれたぞ」
その姿を見て凍り付く咲良。
しかしその周りの女子達は、「素敵」「愛されてうらやましい」とひそひそと囁き合っている。
松本も、「さりげなくとあれほどー」と、隅の方で焦っている。
咲良、慌てて游の元へ。
咲良「これは、なに……!?」
と、恥ずかしさから小声になる咲良。
花束を渡す游。
游「デートをしよう」
游「思えば、もうすぐ結婚するというのにデートの一つもしたことがなかったからな」
咲良「で、デート……」
ぽかんとしばし考える咲良だったが、はっとする。
咲良(たしかに……)
(私コイツのこと、何も知らない)((イジワルという以外……))
(ご両親との顔合わせ前に、いろいろ知っておかないと……)
咲良「……わかった」
咲良「しよう。デート」
全く浮かれなどない、戦場にでも行くような引き締まった顔の咲良。
その反面、ぱっと顔を輝かせる游。
〇車内
車内に入って、改めて受け取った花を見る咲良。
咲良「……かわいい花」
游「好きだっただろう」
游「特に、その季節の花が」
咲良「え……」
〇回想・姫川絵画教室
デッサン中。
皆の中央に、あじさいが置かれている。
咲良(8)がニコニコと花を描いている。
咲良「季節の花って、すごく綺麗だよね!」
隣でデッサンしている游(8)。無表情ながら、頬を染めている。
游「……」
游(季節の花が、好きなのか……)
〇回想ここまで
〇車内
咲良(たしかに、言ったかも……)
咲良、游に言われたことを思い出し……
〇回想・桜庭家のマンションのリビング(夜)
手当をして触れていた咲良の手を、柔らかく握る游。
游「お前には……いつも笑っていてほしい、ってことだ」
〇回想ここまで
〇車内
咲良(まさか……)
咲良(まさかとは思うけど……)
気恥ずかしさもありつつ、ちらっと游を見る咲良。
咲良「あのさ……」
游「ん?」
咲良「なんで、私が季節の花が好きだって覚えてるの?」
真意を聞くも、
游「記憶力なら自信がある」
とどや顔で言う游。
咲良「そ、そっか」
咲良(まあそうだよね)
(散々私にいじわるしてたヤツが)
(まさかあの頃から私のことが好きだったとか……)
咲良(そんな少女漫画みたいなこと、あるわけないか)
游(お前のことなら、なんでも覚えてる)
それぞれ違うことを考えている、苦笑の咲良と、どや顔の游。
咲良、はっと思い直す。
咲良(こうしてる時間がもったいない)
咲良「えっと……まず、あんたの趣味を教えてよ」
パッと生徒手帳を出し、メモの準備をする咲良。
游「趣味か……」
游「美術館巡りと、将棋だ」
咲良「ふむふむ」
とメモをする咲良。
咲良「好きな食べ物と、苦手な食べ物は?」
游「好きな食べ物は焼き芋。苦手な食べ物はない」
咲良「意外に渋いね」
咲良「じゃあ――」
少しの時間経過の後、パタンっと生徒手帳を閉じる咲良。
咲良「――うん、これでだいぶ、あんたのことを知れたね!」
咲良「あ、あと、お互いに名前を呼ばないのも変だよね」
咲良「游って、呼んでいい?」
咲良「游は、咲良って呼んで」
游「ゆっ、さっ……」
游「!!」
かーっと頬を赤くする游。
松本(頑張れ、游さん……!)
游「…………」
游「………」
顔を真っ赤にして、コホンと咳払いする游。
頬を染めて、真っ赤な顔でまっすぐ咲良を見つめる游。
游「咲良」
思いがけず、頬を赤くする咲良。
咲良(そんな顔で言われると……)
咲良「う、うん……」
お互いそっぽを向きながら、顔を染めている。
咲良(ちょっと、ドキッとしちゃった……)
游(咲良……咲良……咲良……)
それを、運転しながらも嬉し泣きで見守る松本。
松本(グッジョブです、游さん!)
〇ブランドショップ・外
キレイなショップが並ぶ通りで、游の車が停まる。
松本「いってらっしゃいませ」
車から降りた松本が游と咲良に頭を下げる。
咲良も丁寧に会釈を返す。
咲良と游、並んで歩いていく。
咲良「どこに行くの?」
游「ここだ」
游「『デート』をするには、それなりの服装でなければな」
そこには、ブランドショップらしき豪勢な店が。
〇ブランドショップ・店内
煌びやかで高そうなドレスやアクセサリーが並ぶブランドショップ。
広々とした試着室のカーテンが、さっと開く。
咲良「ねえ、游……」
游、美しくドレスアップした咲良を見て、頬を染めて目を見開く。
咲良は、フォーマルで煌びやかな服装に着替え、照れくさそうにしている。
咲良「ここまで、キレイにする必要ないんじゃないかな」
咲良「その……金額もけっこうするし……」
咲良(見間違いじゃなきゃ、ウン十万する……)
咲良「さすがにTシャツ短パンは申し訳ないけど」
咲良「もっと、ラフな格好にしようよ」
と試着室に戻ろうとした時。
游が、軽く腕を掴んで自分の方を向かせる。
咲良「!」
はっと振り返る咲良。
游、興奮気味の真剣な顔で咲良に伝える。
游「それでいい」
游「いや、その……」
游「そのままで」
游(めちゃくちゃ綺麗だ……!!)
咲良「そ、そう……?」
間近で真剣に言われ、つい頬が赤くなる咲良。
游「それに、お父様との顔合わせの服も兼ねている」
游「遠慮するな」
咲良「あ……ありがと」
照れくさそうな咲良。
〇高級レストラン
テーブルには、アフタヌーンティースタンド。
かわいらしいスウィーツがたくさん並んでいる。
咲良「わあ、かわいい……!」
純粋に驚く咲良。
まんざらでもなく、嬉しそうに微笑む游。
咲良「だけど……」
咲良「ここも、高いんじゃ……」
申し訳なさそうな咲良。
ここは、高級レストラン。二人向かい合って座っている。
周りもドレスなどに身を包んだ人ばかり。
游「お前は……」
と言いかけて、コホンと咳払いする游。
游「さ、咲良は……気にしすぎだ」
游「これは……デート、なんだから」
咲良「だけど……」
咲良「デートって、こういうものなのかな……」
游「ん?」
咲良「なんていうかもっと、うふふとかあははとか」
咲良「二人で楽しそうに、楽しい~ことをしているようなイメージが……」
游「なんだ、その曖昧な知識」
咲良「だって、デートなんてしたことないし……!」
游「したことないのか?」
と、少し嬉しそうな游。
咲良「女の子とっかえひっかえしてそうなあんたとは違うの」
游「しつこく誘われるから、たしなみ程度に行ったことはあるけど」
游「自分からしたいと思ったのは初めてだ」
咲良「!?」
さらっと言われたことで、咲良は驚きつつ照れる。
游「? なんだよ」
自覚のない游に、咲良はペースを乱されつつ言葉を探す。
咲良「……えっと」
咲良(游って、天然……?)
咲良「とりあえず……」
咲良「遠慮なくいただきまーす」
空気を切り替えようと、咲良はフォークを手に取る。
パクっと口に含み、すぐに目を輝かせる咲良。
咲良「おいしい!」
と素直な笑顔でスウィーツを楽しむ。
それを見て、游はひそかに嬉しそうに微笑む。
游(やっと笑った……)
咲良「あ、これお芋のスウィーツだよ」
咲良「游、焼き芋好きだって言ってたよね」
游「ああ。うん、うまそうだな」
咲良「はい、どうぞ」
と、游の前に置かれているお皿にのせてあげる咲良。
游「いや、いいって。咲良が食べろよ」
咲良「え、どうして……?」
游「咲良がうまそうに食べている顔が」
お皿にのせられたスウィーツを、フォークにのせる。
游「好きだから」
游、あーんをするように、咲良の前にフォークを差し出す。
咲良「!!」
游「だから、これは咲良に」
咲良「……えっと」
游「早く」
咲良(えいっ)
と、フォークのスウィーツを思い切って口に入れる。
もぐもぐっ…と食べて、ぱっと顔を輝かせる。
咲良「これも、おいしー!」
はっと游の方を見る咲良。
游「よかった」
と、游は微笑み、愛しげな目で咲良を見ているのだった。
嬉しそうな游を見て、ドキッとする咲良。
咲良(なんで、そんな顔するの……?)
(これじゃあまるで、本物の恋人同士の、デートみたいじゃない……)
深刻な表情で、後部座席に乗っている游。
運転席で、心配そうに游を見ている松本。
松本「游さま……どうされましたか?」
游「いや……」
游「俺……あいつのこと、好きだったんですね……」
松本「えっ」
松本「ず、ずっとそうだったのでは……!」
松本「だって、じゃなければプロポーズもしないはずで」
游「そうか……そうですよね」
游「俺は彼女を……好きだから……プロポーズをした」
言うほどに真っ赤になっていき、頭から湯気が出てくる游。
松本(ようやく、自覚なさった……!)
游の成長に、親目線で涙がちょちょぎれる松本。
游「松さん」
松本「はい!」
游「こういう時、男は……どうしたらいいんでしょうか?」
松本「えっ」
松本「そ、そうですね……」
人生の先輩として、ぐっと背筋を伸ばす松本。
松本「たとえば……デートに誘ってみてはどうでしょう?」
游「デート」
真顔ながら、キラーンと游の目が光る。
松本「といっても強引にではなく、さりげなく、游さんのお気持ちをお伝えするようなつもりで……」
という松本の言葉は耳に入っておらず、一人考える游。
游(デート……デートか……)
〇咲良のバイト先のファミレス・外
日曜日――。
咲良「おつかれさまでしたー」
私服のTシャツ短パンといったラフな姿で外に出る咲良。
通行人たちが、頬染めで何やらひそひそと駐車場の方を見ている。
そんな様子に「なにごと?」と思いながら通り過ぎようとする咲良。
そこで待っていたのは、夏の花の花束を抱えビシッと正装しているイケメン度マックスの游。
游「待ちくたびれたぞ」
その姿を見て凍り付く咲良。
しかしその周りの女子達は、「素敵」「愛されてうらやましい」とひそひそと囁き合っている。
松本も、「さりげなくとあれほどー」と、隅の方で焦っている。
咲良、慌てて游の元へ。
咲良「これは、なに……!?」
と、恥ずかしさから小声になる咲良。
花束を渡す游。
游「デートをしよう」
游「思えば、もうすぐ結婚するというのにデートの一つもしたことがなかったからな」
咲良「で、デート……」
ぽかんとしばし考える咲良だったが、はっとする。
咲良(たしかに……)
(私コイツのこと、何も知らない)((イジワルという以外……))
(ご両親との顔合わせ前に、いろいろ知っておかないと……)
咲良「……わかった」
咲良「しよう。デート」
全く浮かれなどない、戦場にでも行くような引き締まった顔の咲良。
その反面、ぱっと顔を輝かせる游。
〇車内
車内に入って、改めて受け取った花を見る咲良。
咲良「……かわいい花」
游「好きだっただろう」
游「特に、その季節の花が」
咲良「え……」
〇回想・姫川絵画教室
デッサン中。
皆の中央に、あじさいが置かれている。
咲良(8)がニコニコと花を描いている。
咲良「季節の花って、すごく綺麗だよね!」
隣でデッサンしている游(8)。無表情ながら、頬を染めている。
游「……」
游(季節の花が、好きなのか……)
〇回想ここまで
〇車内
咲良(たしかに、言ったかも……)
咲良、游に言われたことを思い出し……
〇回想・桜庭家のマンションのリビング(夜)
手当をして触れていた咲良の手を、柔らかく握る游。
游「お前には……いつも笑っていてほしい、ってことだ」
〇回想ここまで
〇車内
咲良(まさか……)
咲良(まさかとは思うけど……)
気恥ずかしさもありつつ、ちらっと游を見る咲良。
咲良「あのさ……」
游「ん?」
咲良「なんで、私が季節の花が好きだって覚えてるの?」
真意を聞くも、
游「記憶力なら自信がある」
とどや顔で言う游。
咲良「そ、そっか」
咲良(まあそうだよね)
(散々私にいじわるしてたヤツが)
(まさかあの頃から私のことが好きだったとか……)
咲良(そんな少女漫画みたいなこと、あるわけないか)
游(お前のことなら、なんでも覚えてる)
それぞれ違うことを考えている、苦笑の咲良と、どや顔の游。
咲良、はっと思い直す。
咲良(こうしてる時間がもったいない)
咲良「えっと……まず、あんたの趣味を教えてよ」
パッと生徒手帳を出し、メモの準備をする咲良。
游「趣味か……」
游「美術館巡りと、将棋だ」
咲良「ふむふむ」
とメモをする咲良。
咲良「好きな食べ物と、苦手な食べ物は?」
游「好きな食べ物は焼き芋。苦手な食べ物はない」
咲良「意外に渋いね」
咲良「じゃあ――」
少しの時間経過の後、パタンっと生徒手帳を閉じる咲良。
咲良「――うん、これでだいぶ、あんたのことを知れたね!」
咲良「あ、あと、お互いに名前を呼ばないのも変だよね」
咲良「游って、呼んでいい?」
咲良「游は、咲良って呼んで」
游「ゆっ、さっ……」
游「!!」
かーっと頬を赤くする游。
松本(頑張れ、游さん……!)
游「…………」
游「………」
顔を真っ赤にして、コホンと咳払いする游。
頬を染めて、真っ赤な顔でまっすぐ咲良を見つめる游。
游「咲良」
思いがけず、頬を赤くする咲良。
咲良(そんな顔で言われると……)
咲良「う、うん……」
お互いそっぽを向きながら、顔を染めている。
咲良(ちょっと、ドキッとしちゃった……)
游(咲良……咲良……咲良……)
それを、運転しながらも嬉し泣きで見守る松本。
松本(グッジョブです、游さん!)
〇ブランドショップ・外
キレイなショップが並ぶ通りで、游の車が停まる。
松本「いってらっしゃいませ」
車から降りた松本が游と咲良に頭を下げる。
咲良も丁寧に会釈を返す。
咲良と游、並んで歩いていく。
咲良「どこに行くの?」
游「ここだ」
游「『デート』をするには、それなりの服装でなければな」
そこには、ブランドショップらしき豪勢な店が。
〇ブランドショップ・店内
煌びやかで高そうなドレスやアクセサリーが並ぶブランドショップ。
広々とした試着室のカーテンが、さっと開く。
咲良「ねえ、游……」
游、美しくドレスアップした咲良を見て、頬を染めて目を見開く。
咲良は、フォーマルで煌びやかな服装に着替え、照れくさそうにしている。
咲良「ここまで、キレイにする必要ないんじゃないかな」
咲良「その……金額もけっこうするし……」
咲良(見間違いじゃなきゃ、ウン十万する……)
咲良「さすがにTシャツ短パンは申し訳ないけど」
咲良「もっと、ラフな格好にしようよ」
と試着室に戻ろうとした時。
游が、軽く腕を掴んで自分の方を向かせる。
咲良「!」
はっと振り返る咲良。
游、興奮気味の真剣な顔で咲良に伝える。
游「それでいい」
游「いや、その……」
游「そのままで」
游(めちゃくちゃ綺麗だ……!!)
咲良「そ、そう……?」
間近で真剣に言われ、つい頬が赤くなる咲良。
游「それに、お父様との顔合わせの服も兼ねている」
游「遠慮するな」
咲良「あ……ありがと」
照れくさそうな咲良。
〇高級レストラン
テーブルには、アフタヌーンティースタンド。
かわいらしいスウィーツがたくさん並んでいる。
咲良「わあ、かわいい……!」
純粋に驚く咲良。
まんざらでもなく、嬉しそうに微笑む游。
咲良「だけど……」
咲良「ここも、高いんじゃ……」
申し訳なさそうな咲良。
ここは、高級レストラン。二人向かい合って座っている。
周りもドレスなどに身を包んだ人ばかり。
游「お前は……」
と言いかけて、コホンと咳払いする游。
游「さ、咲良は……気にしすぎだ」
游「これは……デート、なんだから」
咲良「だけど……」
咲良「デートって、こういうものなのかな……」
游「ん?」
咲良「なんていうかもっと、うふふとかあははとか」
咲良「二人で楽しそうに、楽しい~ことをしているようなイメージが……」
游「なんだ、その曖昧な知識」
咲良「だって、デートなんてしたことないし……!」
游「したことないのか?」
と、少し嬉しそうな游。
咲良「女の子とっかえひっかえしてそうなあんたとは違うの」
游「しつこく誘われるから、たしなみ程度に行ったことはあるけど」
游「自分からしたいと思ったのは初めてだ」
咲良「!?」
さらっと言われたことで、咲良は驚きつつ照れる。
游「? なんだよ」
自覚のない游に、咲良はペースを乱されつつ言葉を探す。
咲良「……えっと」
咲良(游って、天然……?)
咲良「とりあえず……」
咲良「遠慮なくいただきまーす」
空気を切り替えようと、咲良はフォークを手に取る。
パクっと口に含み、すぐに目を輝かせる咲良。
咲良「おいしい!」
と素直な笑顔でスウィーツを楽しむ。
それを見て、游はひそかに嬉しそうに微笑む。
游(やっと笑った……)
咲良「あ、これお芋のスウィーツだよ」
咲良「游、焼き芋好きだって言ってたよね」
游「ああ。うん、うまそうだな」
咲良「はい、どうぞ」
と、游の前に置かれているお皿にのせてあげる咲良。
游「いや、いいって。咲良が食べろよ」
咲良「え、どうして……?」
游「咲良がうまそうに食べている顔が」
お皿にのせられたスウィーツを、フォークにのせる。
游「好きだから」
游、あーんをするように、咲良の前にフォークを差し出す。
咲良「!!」
游「だから、これは咲良に」
咲良「……えっと」
游「早く」
咲良(えいっ)
と、フォークのスウィーツを思い切って口に入れる。
もぐもぐっ…と食べて、ぱっと顔を輝かせる。
咲良「これも、おいしー!」
はっと游の方を見る咲良。
游「よかった」
と、游は微笑み、愛しげな目で咲良を見ているのだった。
嬉しそうな游を見て、ドキッとする咲良。
咲良(なんで、そんな顔するの……?)
(これじゃあまるで、本物の恋人同士の、デートみたいじゃない……)