真夏のブルーベリー

防災講話

新採職員は１週間の研修を終え、各課で仕事に取り掛かる。
いよいよ社会人としての一歩を踏み出し始めたルーキー達。
慣れない中、過ぎていく日々。
各課に散らばった同期たちが久しぶりに集まる機会があった。

防災講話。
過去の災害の体験談、心構えなどを聞き、
災害に関する準備品を実際に見たり、
河川敷を見学して土嚢を作ったり、
防災に関して意識を持つ日だ。

その日は河川敷に行くため、職員たちは順番に乗り込むバスを振り分けられ、支給されたヘルメットを持って好きな座席に座った。

あ、絵画の天使の隣が空いている。
どうしよう、仲の良い同期たちはみなばらけている。

「隣に座ってもいい？」
萌香の問いかけに、こちらを少し見上げて微笑み、頷く天使。
車窓から陽の光が差し込み、天使の淡い瞳がきらきら照らされた。

この人、髪色だけじゃなくて瞳も栗色なんだわ。

作業服に長靴姿といういでたちでも、天使は天使だった。
< 2 / 3 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop