縁結び−変わる勇気をくれた君と、秋の風―
秋の寒空の下。
境内の中を竹箒で掃きながら落ち葉を集めるのは、佐敷憧子、中学1年生。
彼女の実家は神社。
氏神様を祀っているため、普段から地元の人がよく訪れる神社だ。
休みの日にもしっかりと袴を身に着け、週末はこうして家の手伝いがてら、境内の掃除をよくしている。
「お!また『座敷童子』が掃除してるぜー?」
後ろから声が聞こえたので振り向くと、同級生の男の子2、3人がこっちを見て笑っている。
「『ざしきわらし』じゃないもん!『さじきとうこ』!」
そう言い返すが、ケラケラ笑っている男子たちは全然聞いてない。
「やべ!『ざしきわらし』を怒らせたぜ〜」
「逃げろー!」
怒った憧子を見て満足したのか、まだケラケラと笑いながら、男子たちは足早に去っていった。
ふぅ、と溜め息をつくと、掃除を再開する。
こうやって、名前でからかわれるのも、もはや日常茶飯事になっていた。
名前に加えて、
昔から、おかっぱ頭にしていることも、
週末は神社で竹箒を持って掃除していることも、
からかわれる要因となっているのだということは、憧子自身が1番よく分かっていた。
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