縁結び−変わる勇気をくれた君と、秋の風―
「ダイチ!もー、どこ行ったかと思ったよっ!」
20歳くらいのその女性がダイチの腕をバシッと叩くと、ダイチは御守に目を向けたまま「ごめんごめん」と笑いながら謝った。
「こんにちは。」
憧子が女性に声をかけると、その女性も「こんにちは」と返した。
そして言葉を続ける。
「可愛い巫女さんね。あなたいくつ?」
「中1です。」
「あら!ダイチ、あんたと同級生じゃない。」
姉と一緒に驚いた様子のダイチが、御守から憧子へ目線を移した。
「マジか!偶然だね。ちなみにこのあたりも西中エリアかな?」
「そうです。私、西中に通ってます。」
「そうなんだ!俺、明日から西中に通うよ。転校してきたから。ちなみに何組?」
「3組」
「おぉ!俺も3組って聞いてるんだー!わー、うれしー!知り合いできたー!」
嬉しそうに笑うダイチを見て、胸がキュンとした。
そして、ダイチは改めて憧子の方に目線を向けて言った。
「俺、西嶋大地っていうんだ。大きいに地面の地でダイチ!よろしく。」
「よ、よろしく…」
大地の爽やかさに圧倒されながら憧子が言葉を返すと、大地の横で安堵した表情の大地の姉が、にっこりと笑いながら
「よかったー!大地と仲良くしてね。」
と憧子に声をかけ、そのまま大地に目線を移した。
「ところで大地。アンタ、なんの御守り買おうとしてるの?」
「友達欲しいから、友達がたくさんできる御守り!」
「そっか、それなら…」
大地の言葉を聞いて、憧子が1つの御守りの方に手を差し出した。