苦い初恋が甘い初恋に
「涼、好きな人いるの?」
と、私は聞いた。涼は
「いるよ。」
と何気ない顔をして言った。
「あーいるんだ。まぁ、いるよね。」

私は悩んだ。
『聞きたくない。でも聞きたい。』
葛藤した。もう、もはや友達のためではなく、自分のためにだった。

「だーれ?気になる。」
軽い感じで私は聞いた。

『おちゃらけてる感じなら、
私の気持ち、バレないだろう』
と思ったのだ。

「言わないよ。」
涼は言わない。私は気持ちが抑えきれなくて
「いいじゃん。教えてよ。」
と笑いながらふざけた感じで言った。

「心菜」
涼はボソッと言った。

『え?』
私はフリーズしかけた。
しかしすぐに、
「あっ、冗談か。キツイよ。で、本当は?」
と、照れ隠しで言った。

「だからお前だって。」
私は完全にフリーズした。

そこで他のメンバーが戻ってきたため、
話は終わった。

それからしばらくその言葉が離れなかった。
でも、涼の様子は全く変わらなかった。
いつものように話しかけてくるし、
何事もなく過ごしていた。

友達には「教えてくれなかった」と言った。
私は真実がわからないでいたからだ。
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