使えないと言われ続けた悪役令嬢のその後
 そう。それがエリクセンルートのED。だからこそ、お父様が修道院へ行けと言ったのが理解できなかった。
 エリクセン殿下と婚約だってしていないのに、何故、乙女ゲーム通りにストーリーが進んでしまったのかと思ったからだ。

「ク、クリオ嬢に聞いたって、え? 何で彼女が知って……まさかっ!」
「やっぱりね。クリオ嬢の言った通りだ。アベリア。君も転生者ってものなんだね」
「クリオ嬢も?」

 感情が追いつかないのか、驚いた顔をしているが、私の手は震えていた。その手をエリクセン殿下が取る。
 まるで、落ち着けとでもいうように、両手で包み込んでくれた。

 幼い頃からのおまじない。効果てき面だから、私たちはよく手を繋いでいた。何処に行く時も、誰と会う時も。

「あぁ。アベリアが、何だっけ凄く腹の立つ言い方をされたんだよね。確か、悪役令嬢だったかな。思わずクリオ嬢に剣を向けちゃったよ」
「ヒ、ヒロインになんてことを!?」

 攻略対象者がまさか、そんなっ!

「だって、俺の可愛いアベリアにそう言うんだよ。失礼じゃないか」
「可愛い? 俺のって?」
「もしかして、ずっと気づいていなかったの? まぁ、ずっと俺の婚約者候補筆頭だったからな。でも、クリオ嬢との婚約にショックを受けてくれていたから、脈ありだと思っていたんだけど……」
「え?」

 また驚くと、エリクセン殿下はいたずらっ子のような顔をした。
< 13 / 18 >

この作品をシェア

pagetop