使えないと言われ続けた悪役令嬢のその後
「アベリアを御しやすいと思っている連中から守るために、候補から外さないようにしていたんだ。本当は候補じゃなくて、婚約者にしたかったんだけど、アベリアはその話をすると、顔を青ざめるから」
あっ、と私は思い出した。そうだ。幼い頃からエリクセン殿下は、こんな私のどこを気に入ったのか、真っ直ぐ好意をぶつけてきた。
私は悪役令嬢アベリアの未来を知っているだけに、拒否をするどころか怯えて何もできなかったのだ。嬉しいと思っていても、だ。
「その理由をさ。不本意ながら、クリオ嬢が教えてくれたんだよ。アベリアは転生者で、俺に断罪されることに怯えているんだって。実に心外だったし、怒りを覚えた」
「……申し訳ありません」
「いいよ、謝罪なんて。俺にはすぐに頭を下げないで、って言ったよね」
「はい」
使えないと言われ続けていた私は、いつの間にか謝り癖がついていた。だから、ご自分には謝るな、と約束させられたのだ。
「それでどう? まだ俺のこと、怖い? もうアベリアを断罪なんてしないし、追放もしないよ。その先に、一緒に来ているんだから」
「そう、それです! どうしてここにいらっしゃるんですか?」
「……つまり、それを先に言わないと、俺の気持ちには答えないつもりか」
思わず「す……」と言いかけた言葉をのみ込んだ。私は目を閉じて、頷くように頭を前に倒す。
「分かったよ。実は俺には双子の弟がいるんだ」
「え? あっ! 隠しキャラ!」
何で忘れていたんだろう。エリクセン殿下には、生き別れの弟がいるのだ。双子は不吉だという理由で市井に預けられた弟が。
あっ、と私は思い出した。そうだ。幼い頃からエリクセン殿下は、こんな私のどこを気に入ったのか、真っ直ぐ好意をぶつけてきた。
私は悪役令嬢アベリアの未来を知っているだけに、拒否をするどころか怯えて何もできなかったのだ。嬉しいと思っていても、だ。
「その理由をさ。不本意ながら、クリオ嬢が教えてくれたんだよ。アベリアは転生者で、俺に断罪されることに怯えているんだって。実に心外だったし、怒りを覚えた」
「……申し訳ありません」
「いいよ、謝罪なんて。俺にはすぐに頭を下げないで、って言ったよね」
「はい」
使えないと言われ続けていた私は、いつの間にか謝り癖がついていた。だから、ご自分には謝るな、と約束させられたのだ。
「それでどう? まだ俺のこと、怖い? もうアベリアを断罪なんてしないし、追放もしないよ。その先に、一緒に来ているんだから」
「そう、それです! どうしてここにいらっしゃるんですか?」
「……つまり、それを先に言わないと、俺の気持ちには答えないつもりか」
思わず「す……」と言いかけた言葉をのみ込んだ。私は目を閉じて、頷くように頭を前に倒す。
「分かったよ。実は俺には双子の弟がいるんだ」
「え? あっ! 隠しキャラ!」
何で忘れていたんだろう。エリクセン殿下には、生き別れの弟がいるのだ。双子は不吉だという理由で市井に預けられた弟が。