使えないと言われ続けた悪役令嬢のその後
「クリオ嬢は、アベリアが同じ転生者だと確信して、こういう道を提示してくれたんだ。きっとアベリアは、王太子妃には向かない。ましてや王妃など。それは俺も薄々思っていたから否定はできなかった。すまない」
「いえ、転生前は平民でしたし。この通り引っ込み思案と言いますか、使えない人間なので……」
「っ! 俺はそう思っていない!」
ビクッと体が跳ねた。と同時に、エリクセン殿下の手も止まる。
「悪い。だが、俺は一度たりともそう思ったことはない。それだけは覚えておいてくれ」
「はい」
「俺は失脚しても構わない。が、アベリアが不幸になることも、手放すことも俺にはできなかった。だから、あの二人の要求を呑んだんだ」
「つまり、コルラード様と入れ替わったということですか?」
それ以外、辻褄が合わない。
「そうだ。筋書きとしては、俺とこのまま駆け落ちをして、ここから離れた村でひっそりと暮らすんだ、二人で。嫌か?」
「殿下はよろしいんですか? 私は先ほども言った通り、平民でしたから構いませんが。それに殿下をお支えできるのか、正直自信がありません」
すると、止まっていた手が再び動き出した。しかも、今度はわしゃわしゃと撫でる。
「いえ、転生前は平民でしたし。この通り引っ込み思案と言いますか、使えない人間なので……」
「っ! 俺はそう思っていない!」
ビクッと体が跳ねた。と同時に、エリクセン殿下の手も止まる。
「悪い。だが、俺は一度たりともそう思ったことはない。それだけは覚えておいてくれ」
「はい」
「俺は失脚しても構わない。が、アベリアが不幸になることも、手放すことも俺にはできなかった。だから、あの二人の要求を呑んだんだ」
「つまり、コルラード様と入れ替わったということですか?」
それ以外、辻褄が合わない。
「そうだ。筋書きとしては、俺とこのまま駆け落ちをして、ここから離れた村でひっそりと暮らすんだ、二人で。嫌か?」
「殿下はよろしいんですか? 私は先ほども言った通り、平民でしたから構いませんが。それに殿下をお支えできるのか、正直自信がありません」
すると、止まっていた手が再び動き出した。しかも、今度はわしゃわしゃと撫でる。