使えないと言われ続けた悪役令嬢のその後
◇◆◇


 アベリア・ハイドフェルド様

 このお手紙をいつ頃読まれているでしょうか。
 エリクセン殿下から全てを聞いた後だといいのですが……。

 そう、私は転生者です。恐らく、アベリア様も同じだと思っているのですが、当たっていますか?
 当たっていたら、いえ、当たっていなくても、謝罪させてください。

 私はアベリア様を陥れたいとは思っていません。むしろ、仲良くなりたかったんです。

 夜会で何度か、助けてくれたのはアベリア様ですよね。

 閉じ込められた時、部屋の鍵を開けて叩いてくれたり、ズタズタにされたドレスの横に綺麗なドレスを代わりにと置いてくれたりしてくれたのは、アベリア様だと、エリクセン殿下からお聞きしました。
 他にも色々。

 本当に、エリクセン殿下から愛されていらっしゃるのがよく分かります。
 だから思ったんです。アベリア様も転生者なのではないか、と。本来のアベリア様とは違った動きをされていましたから。

 だから今回、このような形を取らせていただきました。誰も不幸にならない方法。
 アベリア様も乙女ゲーム『今宵の月は美しい?』をプレイされていたのならご存知の通り、私はコルラードルートを進めていました。

 そのEDはアベリア様を始め、エリクセン殿下も不幸になります。けれど、アベリア様の場合はエリクセン殿下から婚約破棄を言い渡された後のお話です。

 その前提がない以上、どうにかできるのではないか、と私を始めコルラードとエリクセン殿下を交えて話し合いました。
 誰も不幸にならない方法はどれか、と。

 それが、この結果です。
 お怒りになられたでしょうか。それともお許しくださいますか?

 できることなら、同じ転生者として、私はアベリア様と仲良くなりたいです。転生する前のお話や『今宵の月は美しい?』のお話などしたい。

 落ち着かれましたら、リダカン伯爵様経由でお手紙をくださると嬉しいです。

 クリオ・シュトロブル


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