隣のイケメン執事はちょっと強引 ~恋をするのが禁止な私を誘惑しないで~
第四話 秘密の関係
〇通学路(朝)
莉子、小さな手帳を開き勉強中。
突然、鞄の中のスマホから大きな音が鳴る。
莉子「ひやっ! びっくりしたぁ~(想定外の連絡で少し驚いてしまう)」
莉子N「節約生活の私といっても」
莉子N「スマホは手放すことはできない」
莉子N「もはや現代のインフラ(ガス・電気・水道)ともいえると思う」
莉子(普段はバイト探しに使ったり、バイトの連絡に使ったり、お母さんに連絡したり――)
莉子(って、我ながら悲しい使い方しかしてなかったけど)
莉子(昨日、彼と連絡先交換したんだった)
〇(回想)学校・屋上
二人、昼食を食べ終わって
莉子「時間もないし早く教室に戻らないと」
莉子「あっ! 私が後から教室に戻るから先におねがいします」
陽斗「その前に少しよろしいですか?」
陽斗「今後のために連絡先を交換しておきましょう」
陽斗「その方が色々便利ですしね」
莉子「(たじろいて)えっ……でも……」
陽斗「(笑顔で)普通の高校生がクラスメイトと連絡先を交換するのはごく普通の事だと存じております」
莉子(普通じゃないくせに!)
(回想終わり)
以下、LINEのようなアプリでのやりとり。
陽斗「おはよう(スタンプで)」
陽斗「昨日の打ち合わせ通りでいい?」
莉子「おっけー(スタンプ)」
莉子(LINEだと何故か普通の高校生っぽいんだよなぁ~)
〇学校・教室・(朝)
莉子、教室に入る。
陽斗の席の周りには人だかりができている。
莉子と陽斗、一瞬だけ視線を合わせてすぐに目を反らす。
莉子N「私たちが決めたこと――それは学校では他人のように過ごす」
莉子(他人のやっかみのせいで、勉強に集中できなくなるかもしれないしね)
男子A「いや~、昨日の五時間目の体育すごかったなぁ~」
男子B「本当だよ、県選抜の村山を抜いてゴールを決めるとは」
女子A「それをいえば六時間目の音楽の時間もだよ! 歌上手すぎ!」
女子B「いや~流行りの曲でYOUTUBEに上げれば100万再生なんて余裕って感じ?」
女子C「そうだよ~アイドル並みの顔にモデル体型で、すぐに芸能界からスカウトが来るよ!」
一同「何か高校で部活やったりするの?」
陽斗「皆様、お褒め頂きありがとうございます。私には他にやるべき事がありますので」
先生「時間だぞ~席に着けぇ~」
一同「もったいない~」
莉子(私の思った通り、学校中で話題になるのも遠くないのかも)
莉子(それにしてもやるべき事ってなんだろう?)
N「一時間目 英語」
先生「今日は皆さんの実力を測るために小テストをしまーす」
クラス一同「え~」
莉子(よしきた! 日々の成果を試す時だ!)
莉子(ふむふむ……分かる、分かるぞ!)
莉子(バイトの時間の合間を縫って、毎日四時間の勉強は流石に辛いけど)
莉子(見える形で結果になってよかった)
先生「それでは隣の人と交換して採点してください。その後集めますから」
莉子(忘れていたけど、彼って入学生代表挨拶――つまりは賢いわけだから)
莉子(当然満点だとは思うけど)
莉子、陽斗と答案用紙を交換する。
莉子(って、英語の部分筆記体かいー!)
莉子(達筆過ぎてまるで読めん……)
先生、黒板に答えを映している。
莉子、手を上げて、
莉子「先生、回答が筆記体で採点が出来ないんですが」
先生「ん? 今回は本人に直接聞いて採点してみて」
先生「えーと、早乙女君は今後筆記体は禁止ね。私も読めないし」
陽斗「承知いたしました」
クラス一同「あはははっ」
クラス一同「先生失格ぅ~」
先生「こらっ!」
陽斗、自分の机を莉子の机にくっ付けて、
陽斗「(小声で)他人のように、でしたよね?」
莉子、無言で首を小さく縦に振る。
莉子「これってuですか?」
陽斗「vですね」
莉子「これってmですか?」
陽斗「nですね」
莉子「これって――」
陽斗「(耳元で)今日のお弁当です」
莉子「!?」
陽斗、莉子の膝の上にこっそり包みを置く。
莉子(うわー! びっくりしたー!)
莉子(今日からも、お弁当を作るのを彼が譲らなかったから認めたけど……)
莉子(皆にバレないように、こっそり渡すように約束したけど……)
莉子(いまじゃないでしょ!)
莉子(それに耳元で無駄にいい声で、しかも低音で囁かれると)
莉子(心臓が飛び出ちゃうでしょ!)
〇学校・教室
N「昼休み」
クラスメイト、陽斗の周りにが集まって、
女子A「早乙女君、今日は一緒にお昼食べようよぉ~」
女子B「昨日は食べられなかったんだしぃ~」
女子C「B子なんて昨日ずっと食べずに待ってたんだから」
女子B「コラッ! C子!」
一同「あはははっ!」
陽斗「(笑顔で)それは申し訳ありませんでした。では昼食と致しましょうか」
莉子、自席を離れて一人で昼食を食べようと教室を出る。
それから中庭のベンチに向かう(第一話と同じ場所)。
莉子N「楽しそう――だとは思うけど」
莉子N「どうせ人間関係に嫌気がさして」
莉子N「すぐに私は一人になりたがるのがお決まりだもの」
***
(フラッシュ)
昨日、陽斗との昼食場面が思い浮かぶ
***
〇学校・中庭
莉子、桜満開の中庭で陽斗に渡された風呂敷を広げる。
莉子(私の昼食と同じおにぎり二個……見た目が良すぎるけど)
莉子(教室で食べても大丈夫なように気を使って作ってくれてたんだ)
※弁当の内容が同じだと怪しまれるため
莉子「では、いただきます」
莉子「んーすごい! おにぎりの中が小さなお弁当箱になってる!」
莉子(色んな具材がバランスよく入ってて、それでいて味の邪魔をしない)
莉子(普通にお弁当を作るよりも大変だっただろうなぁ~)
陽斗、どこからか現れ莉子にそっと容器を渡して、
陽斗「先ほどは渡しそびれましたが、ご当主様もお気に入りの旬のイチゴでございます」
陽斗「小泉さんにも是非召し上がってもらいたくて」
陽斗「それでは失礼します」
莉子「あっ……あり」
陽斗、莉子がお礼をいう前に速足で立ち去ってしまう。
莉子(わざわざ持ってきてくれたんだ……)
莉子、そのイチゴを食べて、
莉子N「その私のために用意された特別なイチゴは」
莉子N「とても甘くて、どこか酸っぱくて――」
莉子N「これが青春の味だったらいいなと思いました」
莉子、小さな手帳を開き勉強中。
突然、鞄の中のスマホから大きな音が鳴る。
莉子「ひやっ! びっくりしたぁ~(想定外の連絡で少し驚いてしまう)」
莉子N「節約生活の私といっても」
莉子N「スマホは手放すことはできない」
莉子N「もはや現代のインフラ(ガス・電気・水道)ともいえると思う」
莉子(普段はバイト探しに使ったり、バイトの連絡に使ったり、お母さんに連絡したり――)
莉子(って、我ながら悲しい使い方しかしてなかったけど)
莉子(昨日、彼と連絡先交換したんだった)
〇(回想)学校・屋上
二人、昼食を食べ終わって
莉子「時間もないし早く教室に戻らないと」
莉子「あっ! 私が後から教室に戻るから先におねがいします」
陽斗「その前に少しよろしいですか?」
陽斗「今後のために連絡先を交換しておきましょう」
陽斗「その方が色々便利ですしね」
莉子「(たじろいて)えっ……でも……」
陽斗「(笑顔で)普通の高校生がクラスメイトと連絡先を交換するのはごく普通の事だと存じております」
莉子(普通じゃないくせに!)
(回想終わり)
以下、LINEのようなアプリでのやりとり。
陽斗「おはよう(スタンプで)」
陽斗「昨日の打ち合わせ通りでいい?」
莉子「おっけー(スタンプ)」
莉子(LINEだと何故か普通の高校生っぽいんだよなぁ~)
〇学校・教室・(朝)
莉子、教室に入る。
陽斗の席の周りには人だかりができている。
莉子と陽斗、一瞬だけ視線を合わせてすぐに目を反らす。
莉子N「私たちが決めたこと――それは学校では他人のように過ごす」
莉子(他人のやっかみのせいで、勉強に集中できなくなるかもしれないしね)
男子A「いや~、昨日の五時間目の体育すごかったなぁ~」
男子B「本当だよ、県選抜の村山を抜いてゴールを決めるとは」
女子A「それをいえば六時間目の音楽の時間もだよ! 歌上手すぎ!」
女子B「いや~流行りの曲でYOUTUBEに上げれば100万再生なんて余裕って感じ?」
女子C「そうだよ~アイドル並みの顔にモデル体型で、すぐに芸能界からスカウトが来るよ!」
一同「何か高校で部活やったりするの?」
陽斗「皆様、お褒め頂きありがとうございます。私には他にやるべき事がありますので」
先生「時間だぞ~席に着けぇ~」
一同「もったいない~」
莉子(私の思った通り、学校中で話題になるのも遠くないのかも)
莉子(それにしてもやるべき事ってなんだろう?)
N「一時間目 英語」
先生「今日は皆さんの実力を測るために小テストをしまーす」
クラス一同「え~」
莉子(よしきた! 日々の成果を試す時だ!)
莉子(ふむふむ……分かる、分かるぞ!)
莉子(バイトの時間の合間を縫って、毎日四時間の勉強は流石に辛いけど)
莉子(見える形で結果になってよかった)
先生「それでは隣の人と交換して採点してください。その後集めますから」
莉子(忘れていたけど、彼って入学生代表挨拶――つまりは賢いわけだから)
莉子(当然満点だとは思うけど)
莉子、陽斗と答案用紙を交換する。
莉子(って、英語の部分筆記体かいー!)
莉子(達筆過ぎてまるで読めん……)
先生、黒板に答えを映している。
莉子、手を上げて、
莉子「先生、回答が筆記体で採点が出来ないんですが」
先生「ん? 今回は本人に直接聞いて採点してみて」
先生「えーと、早乙女君は今後筆記体は禁止ね。私も読めないし」
陽斗「承知いたしました」
クラス一同「あはははっ」
クラス一同「先生失格ぅ~」
先生「こらっ!」
陽斗、自分の机を莉子の机にくっ付けて、
陽斗「(小声で)他人のように、でしたよね?」
莉子、無言で首を小さく縦に振る。
莉子「これってuですか?」
陽斗「vですね」
莉子「これってmですか?」
陽斗「nですね」
莉子「これって――」
陽斗「(耳元で)今日のお弁当です」
莉子「!?」
陽斗、莉子の膝の上にこっそり包みを置く。
莉子(うわー! びっくりしたー!)
莉子(今日からも、お弁当を作るのを彼が譲らなかったから認めたけど……)
莉子(皆にバレないように、こっそり渡すように約束したけど……)
莉子(いまじゃないでしょ!)
莉子(それに耳元で無駄にいい声で、しかも低音で囁かれると)
莉子(心臓が飛び出ちゃうでしょ!)
〇学校・教室
N「昼休み」
クラスメイト、陽斗の周りにが集まって、
女子A「早乙女君、今日は一緒にお昼食べようよぉ~」
女子B「昨日は食べられなかったんだしぃ~」
女子C「B子なんて昨日ずっと食べずに待ってたんだから」
女子B「コラッ! C子!」
一同「あはははっ!」
陽斗「(笑顔で)それは申し訳ありませんでした。では昼食と致しましょうか」
莉子、自席を離れて一人で昼食を食べようと教室を出る。
それから中庭のベンチに向かう(第一話と同じ場所)。
莉子N「楽しそう――だとは思うけど」
莉子N「どうせ人間関係に嫌気がさして」
莉子N「すぐに私は一人になりたがるのがお決まりだもの」
***
(フラッシュ)
昨日、陽斗との昼食場面が思い浮かぶ
***
〇学校・中庭
莉子、桜満開の中庭で陽斗に渡された風呂敷を広げる。
莉子(私の昼食と同じおにぎり二個……見た目が良すぎるけど)
莉子(教室で食べても大丈夫なように気を使って作ってくれてたんだ)
※弁当の内容が同じだと怪しまれるため
莉子「では、いただきます」
莉子「んーすごい! おにぎりの中が小さなお弁当箱になってる!」
莉子(色んな具材がバランスよく入ってて、それでいて味の邪魔をしない)
莉子(普通にお弁当を作るよりも大変だっただろうなぁ~)
陽斗、どこからか現れ莉子にそっと容器を渡して、
陽斗「先ほどは渡しそびれましたが、ご当主様もお気に入りの旬のイチゴでございます」
陽斗「小泉さんにも是非召し上がってもらいたくて」
陽斗「それでは失礼します」
莉子「あっ……あり」
陽斗、莉子がお礼をいう前に速足で立ち去ってしまう。
莉子(わざわざ持ってきてくれたんだ……)
莉子、そのイチゴを食べて、
莉子N「その私のために用意された特別なイチゴは」
莉子N「とても甘くて、どこか酸っぱくて――」
莉子N「これが青春の味だったらいいなと思いました」