結婚ワークショップ
第三話 行ってきますのキスは?
○新居・寝室(日替わり・朝)
早朝5時半。薄暗い中恐る恐る寝室から出てくる穂乃。
物音を立てないように静かに歩き、洗面所へ。
顔を洗ってからまた寝室に戻る。
また扉が開き寝室から出て来る穂乃。
身支度を完璧に済ませている。
穂乃、リビングのソファで眠っている壱をそーっと覗き見てからそそくさと家を出て行く。
○学校・教室(朝)
智花、入室。
いつものようにしゃんと姿勢良く席に座っている穂乃。
智花「穂乃おはようー…穂乃?」
よく見ると目を閉じていた穂乃。
穂乃、突然ハッと目を開け、いつものキリッとした表情で挨拶する。
穂乃「…おはよう智花」
智花「おはよう。あ、あれ?見間違いかな…」
穂乃「何が?」
智花「寝てた?」
穂乃「ううん」
智花「だよね。あんな姿勢良く寝られないよね」
穂乃「あはは…(苦笑い)」
○学校・校庭(放課後)
穂乃と智花、門に向かって歩いている。
校門の近くで生徒たちがざわざわしている様子。
智花「なんだろ?誰かいるのかな?」
穂乃「?」
穂乃、校門の前に立っている壱が見える。
穂乃「え」
智花「ん?」
穂乃「…智花、私忘れ物したかも、先帰ってて」
智花「そうなの?いいよ取ってきなよ、待ってるよ」
穂乃「えーと…」
壱「あ!穂乃ー!」
壱、穂乃を見つけ、手を振って大きな声で呼ぶ。
穂乃、見つかってしまい頭を抱える。
智花「穂乃の知り合い?呼んでるよ?」
穂乃「あ、あはは…」
穂乃と智花、校門の前まで歩き、壱と対面する。
壱「穂乃、なんで今日…」
穂乃「と、智花、この人、あのー、同じ塾の!人!」
智花「へえ、こんにちはー!その制服、青峰高校の人?てか穂乃、塾通ってたっけ?」
穂乃「短期!短期塾的な!最近ね!」
智花「そうなんだ〜」
穂乃「実はこれから塾で…」
智花「そうだったの?じゃあ頑張ってね〜」
穂乃「ありがとう。じゃあねー!」
智花が歩いて行くのを見送る穂乃と壱。
穂乃、壱を見てにっこり微笑んで、
穂乃「ちょっとこっち来てください」
壱の腕を引っ張って歩き出す穂乃。
少し学校から距離を取った場所で、立ち止まる。
穂乃「ちょっと!なんでうちの学校に来てるの!ていうかなんで知ってるの!ていうか壱くん青峰高校なの!?」
壱「そうだけど」
穂乃(青峰高校といえばめちゃくちゃ偏差値高い高校…!めちゃくちゃ頭良いじゃん…!!)
穂乃「私の学校はなんで知ってるの?」
壱「ワークショップに応募したときのプロフィールに書いてあった」
穂乃「何それ知らないんだけど…お母さんたちかああ」
頭を抱える穂乃、ふと気付く。
穂乃(そういえば私、壱くんのこと何も知らないな。基本的なプロフィールさえまだ…)
壱「迎えに来たよ」
穂乃「む、迎えに…?なんで?」
壱「なんではこっちの台詞。今朝なんで何も言わずに出て行った?」
穂乃「え…それは…起こしちゃ悪いから…」
壱「行ってきますのキスは?」
穂乃「だからそれはしないって…!」
壱「わかった。迎えに来たのは咎める為じゃない。穂乃、買い物に行こう」
穂乃「お買い物?」
○スーパーマーケット(夕)
スーパーの中をカゴを持ちながら歩く壱。
その少し後ろをついて歩く穂乃。
壱「穂乃、必要なものあったら入れて。一応兄貴が冷蔵庫に基本的に必要そうなものは初期設定として揃えてくれてるんだけどね。醤油とか調味料は揃ってるから食材の方ね」
穂乃(ああ…だから昨日オムライスの材料普通にあったんだ)
壱「牛乳買お」
穂乃「…あの、お金って…」
壱「俺は運営の弟だよ。軍資金をちゃんと預かっています」
穂乃「いいの?それ使って…」
壱「うん。2週間分の生活費、これで上手にやりくりするのもこの結婚ワークショップの学び所」
穂乃「じゃあ無駄遣いはダメだね」
壱「お菓子買おうよ。穂乃甘いのとしょっぱいのどっち好き?」
穂乃「甘いの…って無駄遣いダメだって!」
壱「お菓子は必要経費だろ」
穂乃「ダメです!」
二人、言い合いながらも楽しそうに買い物をする。
○新居・リビング(夜)
壱、お風呂から濡れた髪をタオルで拭きながら出てくる。
穂乃、ダイニングテーブルで姿勢良く座っている。
壱「穂乃、まだ制服のままだったの?着替えればいいのに」
穂乃「え、ああ、うん」
壱「お風呂お先」
穂乃「うん。…壱くん、昨日はベッド、使わせてもらってありがとう。今日は壱くんがベッドで寝て?交代で使おう」
壱「そんなの寝らんないよ」
穂乃「え?」
壱「昨日の穂乃の香りが残ってたら、一人じゃ寝らんない」
穂乃、ドキッとする。
穂乃「そ、んな…。今すぐ消臭スプレーしてくるから!」
穂乃、寝室に走って行こうとするが壱に手首を掴まれて引き止められる。
壱「穂乃がベッド使ってて。穂乃がいいよって言うまで隣で寝ないから」
穂乃「…でも毎日ソファじゃ風邪ひいちゃう…」
壱、穂乃の耳元で、
壱「じゃあ早く、ベッドに呼んで?」
穂乃「…っ」
穂乃、真っ赤になって手を振り解き、
穂乃「おおおおやすみなさい!!」
壱「お風呂はー?」
穂乃「後で入ります!!」
○寝室(日替わり・朝)
穂乃、また早朝にひっそりと起きて身支度を済ませて、早々と登校する。
壱、ソファで寝ている。
○学校・教室(朝)
穂乃、智花と挨拶する。
智花に「最近早いねー」と言われて笑って誤魔化している穂乃。
○図書室(夕)
暗くなるまで図書室で勉強している穂乃。
時計を見て、重い腰を上げて帰る。
○新居・玄関(夜)
そーっと静かに玄関の扉を開ける穂乃。
急に壱の声がする。
壱「おかえり」
壱、玄関先で仁王立ちで穂乃を待っている。
穂乃「わあ!…ただいま…」
壱「穂乃、部活とかしてたっけ」
穂乃「してないけど…図書館で勉強してたの」
壱「遅いから心配した」
穂乃「ご、ごめんなさい」
壱「俺のこと避けてる?」
穂乃「避けてなんて…な…」
穂乃、靴を脱いで玄関を上がろうとして、足がもつれて倒れそうになる。
壱、咄嗟に抱きしめる形で受け止める。
穂乃「…っ!ご、ごめんなさ…」
壱「穂乃、しんどくない?」
穂乃「え…?」
壱、穂乃の背中をさする。
壱「毎日早起きして、帰って来ても気を張ったままで、疲れない?」
穂乃「…そんなこと…」(バレてた…)
壱「いつもしゃんとしてて綺麗な立ち姿だけど、姿勢正すのって結構しんどいだろ。ここ、大丈夫?」
穂乃「っ…」
壱、穂乃の背中に優しく触れる。
穂乃、壱の手に逐一ドキドキしてしまう。
壱「穂乃のこと見せてよ」
穂乃「え…」
壱「よっ」
壱、突然穂乃をお姫様抱っこしてリビングへ連れて行く。
穂乃「ちょっ…待って、壱くん…!」
壱くん「待たない」
穂乃(ええーーーっ!壱くん、怒ってるの…?)
早朝5時半。薄暗い中恐る恐る寝室から出てくる穂乃。
物音を立てないように静かに歩き、洗面所へ。
顔を洗ってからまた寝室に戻る。
また扉が開き寝室から出て来る穂乃。
身支度を完璧に済ませている。
穂乃、リビングのソファで眠っている壱をそーっと覗き見てからそそくさと家を出て行く。
○学校・教室(朝)
智花、入室。
いつものようにしゃんと姿勢良く席に座っている穂乃。
智花「穂乃おはようー…穂乃?」
よく見ると目を閉じていた穂乃。
穂乃、突然ハッと目を開け、いつものキリッとした表情で挨拶する。
穂乃「…おはよう智花」
智花「おはよう。あ、あれ?見間違いかな…」
穂乃「何が?」
智花「寝てた?」
穂乃「ううん」
智花「だよね。あんな姿勢良く寝られないよね」
穂乃「あはは…(苦笑い)」
○学校・校庭(放課後)
穂乃と智花、門に向かって歩いている。
校門の近くで生徒たちがざわざわしている様子。
智花「なんだろ?誰かいるのかな?」
穂乃「?」
穂乃、校門の前に立っている壱が見える。
穂乃「え」
智花「ん?」
穂乃「…智花、私忘れ物したかも、先帰ってて」
智花「そうなの?いいよ取ってきなよ、待ってるよ」
穂乃「えーと…」
壱「あ!穂乃ー!」
壱、穂乃を見つけ、手を振って大きな声で呼ぶ。
穂乃、見つかってしまい頭を抱える。
智花「穂乃の知り合い?呼んでるよ?」
穂乃「あ、あはは…」
穂乃と智花、校門の前まで歩き、壱と対面する。
壱「穂乃、なんで今日…」
穂乃「と、智花、この人、あのー、同じ塾の!人!」
智花「へえ、こんにちはー!その制服、青峰高校の人?てか穂乃、塾通ってたっけ?」
穂乃「短期!短期塾的な!最近ね!」
智花「そうなんだ〜」
穂乃「実はこれから塾で…」
智花「そうだったの?じゃあ頑張ってね〜」
穂乃「ありがとう。じゃあねー!」
智花が歩いて行くのを見送る穂乃と壱。
穂乃、壱を見てにっこり微笑んで、
穂乃「ちょっとこっち来てください」
壱の腕を引っ張って歩き出す穂乃。
少し学校から距離を取った場所で、立ち止まる。
穂乃「ちょっと!なんでうちの学校に来てるの!ていうかなんで知ってるの!ていうか壱くん青峰高校なの!?」
壱「そうだけど」
穂乃(青峰高校といえばめちゃくちゃ偏差値高い高校…!めちゃくちゃ頭良いじゃん…!!)
穂乃「私の学校はなんで知ってるの?」
壱「ワークショップに応募したときのプロフィールに書いてあった」
穂乃「何それ知らないんだけど…お母さんたちかああ」
頭を抱える穂乃、ふと気付く。
穂乃(そういえば私、壱くんのこと何も知らないな。基本的なプロフィールさえまだ…)
壱「迎えに来たよ」
穂乃「む、迎えに…?なんで?」
壱「なんではこっちの台詞。今朝なんで何も言わずに出て行った?」
穂乃「え…それは…起こしちゃ悪いから…」
壱「行ってきますのキスは?」
穂乃「だからそれはしないって…!」
壱「わかった。迎えに来たのは咎める為じゃない。穂乃、買い物に行こう」
穂乃「お買い物?」
○スーパーマーケット(夕)
スーパーの中をカゴを持ちながら歩く壱。
その少し後ろをついて歩く穂乃。
壱「穂乃、必要なものあったら入れて。一応兄貴が冷蔵庫に基本的に必要そうなものは初期設定として揃えてくれてるんだけどね。醤油とか調味料は揃ってるから食材の方ね」
穂乃(ああ…だから昨日オムライスの材料普通にあったんだ)
壱「牛乳買お」
穂乃「…あの、お金って…」
壱「俺は運営の弟だよ。軍資金をちゃんと預かっています」
穂乃「いいの?それ使って…」
壱「うん。2週間分の生活費、これで上手にやりくりするのもこの結婚ワークショップの学び所」
穂乃「じゃあ無駄遣いはダメだね」
壱「お菓子買おうよ。穂乃甘いのとしょっぱいのどっち好き?」
穂乃「甘いの…って無駄遣いダメだって!」
壱「お菓子は必要経費だろ」
穂乃「ダメです!」
二人、言い合いながらも楽しそうに買い物をする。
○新居・リビング(夜)
壱、お風呂から濡れた髪をタオルで拭きながら出てくる。
穂乃、ダイニングテーブルで姿勢良く座っている。
壱「穂乃、まだ制服のままだったの?着替えればいいのに」
穂乃「え、ああ、うん」
壱「お風呂お先」
穂乃「うん。…壱くん、昨日はベッド、使わせてもらってありがとう。今日は壱くんがベッドで寝て?交代で使おう」
壱「そんなの寝らんないよ」
穂乃「え?」
壱「昨日の穂乃の香りが残ってたら、一人じゃ寝らんない」
穂乃、ドキッとする。
穂乃「そ、んな…。今すぐ消臭スプレーしてくるから!」
穂乃、寝室に走って行こうとするが壱に手首を掴まれて引き止められる。
壱「穂乃がベッド使ってて。穂乃がいいよって言うまで隣で寝ないから」
穂乃「…でも毎日ソファじゃ風邪ひいちゃう…」
壱、穂乃の耳元で、
壱「じゃあ早く、ベッドに呼んで?」
穂乃「…っ」
穂乃、真っ赤になって手を振り解き、
穂乃「おおおおやすみなさい!!」
壱「お風呂はー?」
穂乃「後で入ります!!」
○寝室(日替わり・朝)
穂乃、また早朝にひっそりと起きて身支度を済ませて、早々と登校する。
壱、ソファで寝ている。
○学校・教室(朝)
穂乃、智花と挨拶する。
智花に「最近早いねー」と言われて笑って誤魔化している穂乃。
○図書室(夕)
暗くなるまで図書室で勉強している穂乃。
時計を見て、重い腰を上げて帰る。
○新居・玄関(夜)
そーっと静かに玄関の扉を開ける穂乃。
急に壱の声がする。
壱「おかえり」
壱、玄関先で仁王立ちで穂乃を待っている。
穂乃「わあ!…ただいま…」
壱「穂乃、部活とかしてたっけ」
穂乃「してないけど…図書館で勉強してたの」
壱「遅いから心配した」
穂乃「ご、ごめんなさい」
壱「俺のこと避けてる?」
穂乃「避けてなんて…な…」
穂乃、靴を脱いで玄関を上がろうとして、足がもつれて倒れそうになる。
壱、咄嗟に抱きしめる形で受け止める。
穂乃「…っ!ご、ごめんなさ…」
壱「穂乃、しんどくない?」
穂乃「え…?」
壱、穂乃の背中をさする。
壱「毎日早起きして、帰って来ても気を張ったままで、疲れない?」
穂乃「…そんなこと…」(バレてた…)
壱「いつもしゃんとしてて綺麗な立ち姿だけど、姿勢正すのって結構しんどいだろ。ここ、大丈夫?」
穂乃「っ…」
壱、穂乃の背中に優しく触れる。
穂乃、壱の手に逐一ドキドキしてしまう。
壱「穂乃のこと見せてよ」
穂乃「え…」
壱「よっ」
壱、突然穂乃をお姫様抱っこしてリビングへ連れて行く。
穂乃「ちょっ…待って、壱くん…!」
壱くん「待たない」
穂乃(ええーーーっ!壱くん、怒ってるの…?)