結婚ワークショップ
第四話 向かい合って、触れて、縮まる?
○リビング(夜)
壱、穂乃をソファに降ろし、隣に座る。
穂乃、ドキドキして目を瞑る。
壱「自己紹介するね」
穂乃「へ?」
壱「石渡壱。青峰高校2年。A型。お菓子はしょっぱい派。家族構成は父、母、兄貴、俺。野球とかスポーツ全般好き」
穂乃「壱くん?」
壱「今気になることは穂乃のことで、穂乃がゆっくり過ごせる家が作りたいって思ってる」
穂乃「…!」
壱「知らない奴が家にいたら、そりゃ安心できないよな。だから俺のこともっと知って?それから穂乃のことももっと教えて」
穂乃「壱くん…」
壱と穂乃、ソファの上で向かい合って、
壱「そうやって、夫婦になっていこう」
穂乃「…はい」
照れながら微笑む穂乃。
穂乃(…本当のプロポーズを受けたみたい。ほっぺたが熱くて、溶けてしまいそう。壱くん、真剣に向き合ってくれてるんだ。真面目で、思いやりがあって、突拍子もないことをして私をドキドキさせる。…なんだかこれは、何かが始まりそうな、そんな予感)
○新居(日替わり・朝)
休日の朝。いつもより遅い時間に起き、静かに真実から出て来る穂乃。
ソファで壱がまだ寝ている。
顔を洗い、寝室に戻って身なりを整える。
洗濯をして、キッチンで静かにご飯の用意をする。
壱、ふわっといい香りが鼻をくすぐり、目を覚ます。
ソファから起き上がりキッチンを見ると、穂乃がキッチンに立っている姿が見える。
穂乃、壱が起きたことに気付き、
穂乃「あ、おはよう」
壱「おはよう」
穂乃「朝ごはん、フレンチトーストなんだけど、食べる…?」
壱「やったあ」
壱、にっこり笑って嬉しそうにする。
穂乃、照れながら盛り付けをする。
穂乃・壱「いただきます」
ダイニングテーブルに二人向かい合って座り、食べる。
壱、一口食べて、
壱「うま!」
穂乃「よかった」
壱「めちゃ美味しいよ。すごいね穂乃」
穂乃「全然だよ。最近まともに朝ごはん食べてなかったから、作ってみようかなと…あとオムライス、嬉しかったから、今さらだけどお返し。美味しくできてよかった」
壱「ありがとう。幸せな休日って感じだ」
穂乃、嬉しそうに笑う。
突然ピーンポーンとインターホンが鳴る。
穂乃「え、誰だろ」
壱「?」
○玄関(朝)
穂乃が扉を開けると、修哉が立っていた。
修哉「おはようございます!運営の石渡です。いかがお過ごしでしょうか?何かお困りごととかありませんか?」
穂乃「おはようございます…!えっと、はい、今のところはなんとか…?」
修哉「それはよかった!なにぶん男女お二人のワークショップなので、本人同士では言いづらいことやトラブル等ないか、確認に参った次第です」
穂乃「そうなんですね。壱く…壱さん、とても良くしてくださってて…私の方が一人でてんやわんやしてます」
修哉「そうですか。壱は夫として支えるべき立場です。至らぬ弟で申し訳ない」
穂乃「そんな!そんなことないです」
修哉「困ったことや壱に言いづらいことがあれば僕にご相談いただいても大丈夫ですので、連絡先お渡ししておきますね」
修哉、名刺を穂乃に手渡す。
穂乃「ありがとうございます」
修哉「穂乃さん、指、どうしたの?赤くなってる」
穂乃「あ…さっき少し火傷しちゃって」
修哉「大丈夫?冷やした方がいいよ」
穂乃「すぐ冷やしたので大丈夫です。ありがとうございます」
修哉「気をつけて。お大事に。あんまり頑張りすぎないでね」
穂乃「はい」
修哉、穂乃の頭をぽんぽんと撫でる。
穂乃の後ろから壱が近づいてくる。
壱「…何してんの」
修哉「壱!おはよう。困ってることがないか確認に訪問したよ。変わりないか?」
壱「うん」
修哉「そうか。じゃあ引き続き頼んだよ、壱」
壱「…ん」
玄関が閉まり、修哉、退室。
穂乃「びっくりした。ちゃんとしてるんだね。2週間ほったらかしじゃなくて」
壱「…」
壱、ぐいっと穂乃の腕を引いてリビングに戻る。
穂乃「壱くん?」
壱「座ってて」
ソファに座る穂乃。
壱、冷凍庫から保冷剤を取り出し、ソファの隣に座って穂乃の手を取って冷やす。
穂乃「あ…聞いてたの?」
壱「ごめん。気付けなくて」
穂乃「全然大したことないよ。痛くもないし、少し赤いだけ」
壱「兄貴は気付いたのに…」
穂乃「さすがだよね。やっぱりお仕事柄人の変化とかに敏感なのかな?」
壱「…」
壱、思い詰めたように暗い表情。
穂乃「…壱くん?大丈夫?」
壱「…他は?痛いとこない?」
壱、保冷剤を片手に持ち変え、穂乃の頬や首筋に触れる。
穂乃「んっ、冷たいよ、びっくりしたあ」
びくりと反応する穂乃をじっと見る壱。
壱「…可愛い」
穂乃「え?」
壱「今の声、もっかい聞かせて」
穂乃「や、やだ無理。咄嗟に出ただけ」
壱「…兄貴の方がよかった?」
穂乃「…え?」
壱「結婚相手、兄貴の方が気が付くし、大人だし、もっと穂乃が安心できる家になってたかもしれない…」
穂乃「大人なのはそうかもしれないけど…年も離れてるし、やっぱり私には壱くんなんじゃないかなあ」
壱「…ごめん弱音吐いて。嫉妬、しただけ…」
穂乃「し、嫉妬?」
壱「もっと大人の男として、穂乃を幸せにしたいのに…」
穂乃「ありがとう…。そうだった。最初から壱くんは真剣勝負してたんだった」
壱「穂乃も真剣になって」
穂乃「あはは、そうだね。ごめんごめん。当初よりは前向きになってるよ」
壱「そっか」
穂乃「一緒に頑張ろう」
壱「うん」
壱のスマホが鳴る。
穂乃「電話?」
壱「うん。…もしもし」
電話を取り話しながらソファを立つ壱。
穂乃、少しだけ寂しいような気持ちでその背中を見つめる。
壱「うん。…わかったから、ミカ」
穂乃(?ミカ…?女の子…?いやいや別に女の子と電話しててもいいじゃん。何反応してんだ私)
少しもやっとする穂乃。
壱、穂乃をソファに降ろし、隣に座る。
穂乃、ドキドキして目を瞑る。
壱「自己紹介するね」
穂乃「へ?」
壱「石渡壱。青峰高校2年。A型。お菓子はしょっぱい派。家族構成は父、母、兄貴、俺。野球とかスポーツ全般好き」
穂乃「壱くん?」
壱「今気になることは穂乃のことで、穂乃がゆっくり過ごせる家が作りたいって思ってる」
穂乃「…!」
壱「知らない奴が家にいたら、そりゃ安心できないよな。だから俺のこともっと知って?それから穂乃のことももっと教えて」
穂乃「壱くん…」
壱と穂乃、ソファの上で向かい合って、
壱「そうやって、夫婦になっていこう」
穂乃「…はい」
照れながら微笑む穂乃。
穂乃(…本当のプロポーズを受けたみたい。ほっぺたが熱くて、溶けてしまいそう。壱くん、真剣に向き合ってくれてるんだ。真面目で、思いやりがあって、突拍子もないことをして私をドキドキさせる。…なんだかこれは、何かが始まりそうな、そんな予感)
○新居(日替わり・朝)
休日の朝。いつもより遅い時間に起き、静かに真実から出て来る穂乃。
ソファで壱がまだ寝ている。
顔を洗い、寝室に戻って身なりを整える。
洗濯をして、キッチンで静かにご飯の用意をする。
壱、ふわっといい香りが鼻をくすぐり、目を覚ます。
ソファから起き上がりキッチンを見ると、穂乃がキッチンに立っている姿が見える。
穂乃、壱が起きたことに気付き、
穂乃「あ、おはよう」
壱「おはよう」
穂乃「朝ごはん、フレンチトーストなんだけど、食べる…?」
壱「やったあ」
壱、にっこり笑って嬉しそうにする。
穂乃、照れながら盛り付けをする。
穂乃・壱「いただきます」
ダイニングテーブルに二人向かい合って座り、食べる。
壱、一口食べて、
壱「うま!」
穂乃「よかった」
壱「めちゃ美味しいよ。すごいね穂乃」
穂乃「全然だよ。最近まともに朝ごはん食べてなかったから、作ってみようかなと…あとオムライス、嬉しかったから、今さらだけどお返し。美味しくできてよかった」
壱「ありがとう。幸せな休日って感じだ」
穂乃、嬉しそうに笑う。
突然ピーンポーンとインターホンが鳴る。
穂乃「え、誰だろ」
壱「?」
○玄関(朝)
穂乃が扉を開けると、修哉が立っていた。
修哉「おはようございます!運営の石渡です。いかがお過ごしでしょうか?何かお困りごととかありませんか?」
穂乃「おはようございます…!えっと、はい、今のところはなんとか…?」
修哉「それはよかった!なにぶん男女お二人のワークショップなので、本人同士では言いづらいことやトラブル等ないか、確認に参った次第です」
穂乃「そうなんですね。壱く…壱さん、とても良くしてくださってて…私の方が一人でてんやわんやしてます」
修哉「そうですか。壱は夫として支えるべき立場です。至らぬ弟で申し訳ない」
穂乃「そんな!そんなことないです」
修哉「困ったことや壱に言いづらいことがあれば僕にご相談いただいても大丈夫ですので、連絡先お渡ししておきますね」
修哉、名刺を穂乃に手渡す。
穂乃「ありがとうございます」
修哉「穂乃さん、指、どうしたの?赤くなってる」
穂乃「あ…さっき少し火傷しちゃって」
修哉「大丈夫?冷やした方がいいよ」
穂乃「すぐ冷やしたので大丈夫です。ありがとうございます」
修哉「気をつけて。お大事に。あんまり頑張りすぎないでね」
穂乃「はい」
修哉、穂乃の頭をぽんぽんと撫でる。
穂乃の後ろから壱が近づいてくる。
壱「…何してんの」
修哉「壱!おはよう。困ってることがないか確認に訪問したよ。変わりないか?」
壱「うん」
修哉「そうか。じゃあ引き続き頼んだよ、壱」
壱「…ん」
玄関が閉まり、修哉、退室。
穂乃「びっくりした。ちゃんとしてるんだね。2週間ほったらかしじゃなくて」
壱「…」
壱、ぐいっと穂乃の腕を引いてリビングに戻る。
穂乃「壱くん?」
壱「座ってて」
ソファに座る穂乃。
壱、冷凍庫から保冷剤を取り出し、ソファの隣に座って穂乃の手を取って冷やす。
穂乃「あ…聞いてたの?」
壱「ごめん。気付けなくて」
穂乃「全然大したことないよ。痛くもないし、少し赤いだけ」
壱「兄貴は気付いたのに…」
穂乃「さすがだよね。やっぱりお仕事柄人の変化とかに敏感なのかな?」
壱「…」
壱、思い詰めたように暗い表情。
穂乃「…壱くん?大丈夫?」
壱「…他は?痛いとこない?」
壱、保冷剤を片手に持ち変え、穂乃の頬や首筋に触れる。
穂乃「んっ、冷たいよ、びっくりしたあ」
びくりと反応する穂乃をじっと見る壱。
壱「…可愛い」
穂乃「え?」
壱「今の声、もっかい聞かせて」
穂乃「や、やだ無理。咄嗟に出ただけ」
壱「…兄貴の方がよかった?」
穂乃「…え?」
壱「結婚相手、兄貴の方が気が付くし、大人だし、もっと穂乃が安心できる家になってたかもしれない…」
穂乃「大人なのはそうかもしれないけど…年も離れてるし、やっぱり私には壱くんなんじゃないかなあ」
壱「…ごめん弱音吐いて。嫉妬、しただけ…」
穂乃「し、嫉妬?」
壱「もっと大人の男として、穂乃を幸せにしたいのに…」
穂乃「ありがとう…。そうだった。最初から壱くんは真剣勝負してたんだった」
壱「穂乃も真剣になって」
穂乃「あはは、そうだね。ごめんごめん。当初よりは前向きになってるよ」
壱「そっか」
穂乃「一緒に頑張ろう」
壱「うん」
壱のスマホが鳴る。
穂乃「電話?」
壱「うん。…もしもし」
電話を取り話しながらソファを立つ壱。
穂乃、少しだけ寂しいような気持ちでその背中を見つめる。
壱「うん。…わかったから、ミカ」
穂乃(?ミカ…?女の子…?いやいや別に女の子と電話しててもいいじゃん。何反応してんだ私)
少しもやっとする穂乃。