結婚ワークショップ
第五話 こんなときまで真面目か!
○学校(朝)
廊下を歩いている穂乃。
浮かない顔をしている。
いつも姿勢の良い穂乃だが、今日は少し猫背気味。
智花、穂乃の後ろからやって来て、
智花「穂乃?おはよ!一瞬違う人かと思った!」
穂乃「え?おはよう、なんで?」
智花「全然綺麗な姿勢なんだけど、いつもの穂乃よりはちょこっとしんなりしてるから…」
穂乃「しんなり…」
智花「どうしたの?寝不足?」
穂乃「ううん。大丈夫だよ」
○教室
授業中、ぼんやりと窓の外を眺める穂乃。
穂乃(あの日あの電話のあと…出かけてくるって言って夜まで帰って来なかったなあ、壱くん。次の日も出て行ったし…。ミカって人に呼び出された感じだったけど、友達なのかな…それとも…。そういえばこのワークショップはお兄さんの頼みでお手伝いしてくれてるだけで、壱くんの意志じゃない。てことは実は彼女がいてもおかしくないってこと?ちょいちょい私をからかってくる感じも、女の子慣れしてるって感じだし…)
穂乃、不安げに俯く。
穂乃(おかしいな…。ただのワークショップ、ただの体験学習なのに)
○校庭(放課後)
穂乃、智花と歩いている。
校門のところに壱の姿は見える。
智花「あれ?あの人…」
穂乃「え…なんでまた…」
壱「穂乃ー!」
壱、大きく手を振っている。
智花「こんにちは〜」
壱「こんにちは。おかえり穂乃」
穂乃「おかえりじゃないよ、なんでまたここに」
壱「土日は一緒にいられなかったから、せめて今日…」
穂乃「ちょちょちょ待って!わかった後で聞くね!」
智花「(笑って)楽しそう。今日も塾なんだね?」
穂乃「う、うん…ごめん智花」
智花「ううん。この人といるときの穂乃、いつもよりちょっと慌ててて、見たことない表情してる。楽しそう」
穂乃「え…」
智花「いつも穂乃は客観的っていうか、俯瞰で見てるでしょ。それが今は嵐の真ん中で中心人物として動いてる感じ。そんな穂乃が見れてお母さんは嬉しい…!」
穂乃「いやお母さんて」
智花「また色々聞かせてね。じゃあね〜!」
智花、元気に去っていく。
○路上(夕)
穂乃と壱、歩いている。
穂乃「それで?どうしたの今日は」
壱「土日の埋め合わせ」
穂乃「別に何か約束してたわけじゃないんだし、埋める穴はないけど…」
壱「俺が一緒にいたかったから」
穂乃「…なんかド直球を投げて来るようになってない…?」
壱「穂乃、手繋いでもいい?」
穂乃「へ?!」
壱「行くよ」
穂乃の手を引いて走り出す壱。
驚くが笑顔になる穂乃。
公園でアイスを食べたり、ウインドウショッピングしたりする二人。
楽しく二人の時間を過ごす。
辺りが暗くなって、雨がポツポツと降り出す。
穂乃「あ、雨…」
気づいたのも束の間、一気に土砂降りになる。
走って家に帰る二人。
なんとか辿り着いて玄関に入り、息切れしたびしょ濡れのお互いを見て笑いが込み上げてくる。
穂乃「あはは、すごい雨」
壱「傘持ってても意味なかったやつだこれ」
穂乃「全身びしょ濡れだね。タオル取ってくるよ」
穂乃、靴を脱ごうとするが雨でうまく脱げずよたつく。
壱、穂乃の二の腕を掴んで支える。
壱「大丈夫?」
狭い空間で距離が近くてドキッとする穂乃。
穂乃「うん…ありがと」
穂乃、扉を背中につけもたれるようにして立つ。
壱、穂乃を見つめる。
扉の鍵をカシャンと閉める壱。
穂乃、ドキッと心臓が跳ねる。
壱「…穂乃」
穂乃「…ん?」
壱「今すごくしたいことある」
穂乃「うん…」
壱「こういう場面でキスするのって、一般的な夫婦の行動…?」
穂乃「…ドラマとかで…よくあるかも」
壱「でも今俺たちはワークショップ中…ここは学習の場…」
穂乃「ん?」
壱「学生の本分は勉強、そんな場所では…」
穂乃(いや真面目か)
穂乃、ドキドキしていたが少し冷静になり、
穂乃「でもさー…今は一応結婚した二人、なんだよね?」
壱「うん。だけど夫婦であろうと、そういう行為はお互いの気持ちが大事で…」
まどろっこしい壱に穂乃、ついはっきり言いたくなり、
穂乃「ああーもう!壱くんは私のこと嫌いなの!?」
壱「ううん、好き」
穂乃、ドキッとする。が、どこか冷静に。
穂乃「…じゃあ…しても、いいんじゃない…?」
と言ってみるが我に返りハッとする。
穂乃(…ハッ!なんで私が迫ってるみたいになってるの!?)
穂乃「あはは、ご、ごめん調子乗りました、なんでもな…」
壱、ぐいっと穂乃の顔を両手で包む。
雨が頬を伝う。
顎先の雫が落ちるのと同時に、唇が重なる。
唇が離れてからも見つめ合う二人。
穂乃「…なんで…?」
壱「お互いの気持ちが、一致したので」
穂乃、真っ赤になってその場にしゃがみこむ。
壱、追いかけるようにしゃがみ、もう一度キスをする。
ピーンポーン。
インターホンが鳴る。
キスを止めたくない二人は見つめ合って固まる。
扉の向こうから、修哉の声がする。
修哉「こんばんはー。壱、いるかー?」
穂乃(お兄さん…?ていうか私たち今、何を…。これってもしかして、いけないこと…?バレたらどうなっちゃうの…!?)
廊下を歩いている穂乃。
浮かない顔をしている。
いつも姿勢の良い穂乃だが、今日は少し猫背気味。
智花、穂乃の後ろからやって来て、
智花「穂乃?おはよ!一瞬違う人かと思った!」
穂乃「え?おはよう、なんで?」
智花「全然綺麗な姿勢なんだけど、いつもの穂乃よりはちょこっとしんなりしてるから…」
穂乃「しんなり…」
智花「どうしたの?寝不足?」
穂乃「ううん。大丈夫だよ」
○教室
授業中、ぼんやりと窓の外を眺める穂乃。
穂乃(あの日あの電話のあと…出かけてくるって言って夜まで帰って来なかったなあ、壱くん。次の日も出て行ったし…。ミカって人に呼び出された感じだったけど、友達なのかな…それとも…。そういえばこのワークショップはお兄さんの頼みでお手伝いしてくれてるだけで、壱くんの意志じゃない。てことは実は彼女がいてもおかしくないってこと?ちょいちょい私をからかってくる感じも、女の子慣れしてるって感じだし…)
穂乃、不安げに俯く。
穂乃(おかしいな…。ただのワークショップ、ただの体験学習なのに)
○校庭(放課後)
穂乃、智花と歩いている。
校門のところに壱の姿は見える。
智花「あれ?あの人…」
穂乃「え…なんでまた…」
壱「穂乃ー!」
壱、大きく手を振っている。
智花「こんにちは〜」
壱「こんにちは。おかえり穂乃」
穂乃「おかえりじゃないよ、なんでまたここに」
壱「土日は一緒にいられなかったから、せめて今日…」
穂乃「ちょちょちょ待って!わかった後で聞くね!」
智花「(笑って)楽しそう。今日も塾なんだね?」
穂乃「う、うん…ごめん智花」
智花「ううん。この人といるときの穂乃、いつもよりちょっと慌ててて、見たことない表情してる。楽しそう」
穂乃「え…」
智花「いつも穂乃は客観的っていうか、俯瞰で見てるでしょ。それが今は嵐の真ん中で中心人物として動いてる感じ。そんな穂乃が見れてお母さんは嬉しい…!」
穂乃「いやお母さんて」
智花「また色々聞かせてね。じゃあね〜!」
智花、元気に去っていく。
○路上(夕)
穂乃と壱、歩いている。
穂乃「それで?どうしたの今日は」
壱「土日の埋め合わせ」
穂乃「別に何か約束してたわけじゃないんだし、埋める穴はないけど…」
壱「俺が一緒にいたかったから」
穂乃「…なんかド直球を投げて来るようになってない…?」
壱「穂乃、手繋いでもいい?」
穂乃「へ?!」
壱「行くよ」
穂乃の手を引いて走り出す壱。
驚くが笑顔になる穂乃。
公園でアイスを食べたり、ウインドウショッピングしたりする二人。
楽しく二人の時間を過ごす。
辺りが暗くなって、雨がポツポツと降り出す。
穂乃「あ、雨…」
気づいたのも束の間、一気に土砂降りになる。
走って家に帰る二人。
なんとか辿り着いて玄関に入り、息切れしたびしょ濡れのお互いを見て笑いが込み上げてくる。
穂乃「あはは、すごい雨」
壱「傘持ってても意味なかったやつだこれ」
穂乃「全身びしょ濡れだね。タオル取ってくるよ」
穂乃、靴を脱ごうとするが雨でうまく脱げずよたつく。
壱、穂乃の二の腕を掴んで支える。
壱「大丈夫?」
狭い空間で距離が近くてドキッとする穂乃。
穂乃「うん…ありがと」
穂乃、扉を背中につけもたれるようにして立つ。
壱、穂乃を見つめる。
扉の鍵をカシャンと閉める壱。
穂乃、ドキッと心臓が跳ねる。
壱「…穂乃」
穂乃「…ん?」
壱「今すごくしたいことある」
穂乃「うん…」
壱「こういう場面でキスするのって、一般的な夫婦の行動…?」
穂乃「…ドラマとかで…よくあるかも」
壱「でも今俺たちはワークショップ中…ここは学習の場…」
穂乃「ん?」
壱「学生の本分は勉強、そんな場所では…」
穂乃(いや真面目か)
穂乃、ドキドキしていたが少し冷静になり、
穂乃「でもさー…今は一応結婚した二人、なんだよね?」
壱「うん。だけど夫婦であろうと、そういう行為はお互いの気持ちが大事で…」
まどろっこしい壱に穂乃、ついはっきり言いたくなり、
穂乃「ああーもう!壱くんは私のこと嫌いなの!?」
壱「ううん、好き」
穂乃、ドキッとする。が、どこか冷静に。
穂乃「…じゃあ…しても、いいんじゃない…?」
と言ってみるが我に返りハッとする。
穂乃(…ハッ!なんで私が迫ってるみたいになってるの!?)
穂乃「あはは、ご、ごめん調子乗りました、なんでもな…」
壱、ぐいっと穂乃の顔を両手で包む。
雨が頬を伝う。
顎先の雫が落ちるのと同時に、唇が重なる。
唇が離れてからも見つめ合う二人。
穂乃「…なんで…?」
壱「お互いの気持ちが、一致したので」
穂乃、真っ赤になってその場にしゃがみこむ。
壱、追いかけるようにしゃがみ、もう一度キスをする。
ピーンポーン。
インターホンが鳴る。
キスを止めたくない二人は見つめ合って固まる。
扉の向こうから、修哉の声がする。
修哉「こんばんはー。壱、いるかー?」
穂乃(お兄さん…?ていうか私たち今、何を…。これってもしかして、いけないこと…?バレたらどうなっちゃうの…!?)