しあわせのレシピブック
ソルティとラディッシュ
エレはソルティさんの家兼雑貨屋である「ソルティ・ミルク」に下宿しています。
……下宿、というか。居候というか。同居というか。どれも上手く意味が合わないような気もしますが、とにかく一緒に住んでいるのでした。
「おはようございます。ソルティさん」
だから、今日も目が覚めて。一番最初に口にする名前はソルティさんの名前だったのですが……。
「おはよう。エレちゃん」
「……あら」
朝の身支度を終え、二階から階下に降りたエレを迎えたのはソルティさんではありませんでした。
そこにいるのは、きれいな青い髪を肩の辺りで揃えた女性です。
「しゅーちゃん先生。おはようございます」
「うん。……あ、ちなみにソルテちゃんは「掘り出し物見っけたから掘り出してくる! 文字通り!」って出ていったよ」
「それは、まあ……いつものことですが申し訳ありませんわ……」
「ううん、いいんだよ」
「しゅーちゃん先生」と呼ばれた彼女はそれはそれは良い笑顔を浮かべて、言うのです。
「そういうソルテちゃんのことが好きだから、いいんだ」
「……これもまたいつものことですが、盛大な「おのろけ」ごちそうさまです」
「あはは、おのろけかあ。エレちゃんは面白いこと言うね」
(……別に面白いことを言ったつもりはないのですが……?)
エレは若干の疑問符を浮かべてしゅーちゃん先生を見つめました。
しゅーちゃん先生はくすくすと笑っています。ときおり、「おのろけって……」と聞こえるので、なかなかにツボに入っているようです。
と、
ばたん! と大きな音を立てて、ソルティ・ミルクの立て付けの悪いドアが開きました。
「しゅーちゃああああん!! また面白いの見つけてきた……、あ、エレちゃんおはよう!! エレちゃんも見て見て! 今回はすごいよ!!」
そして、ものすごい勢いで駆け込んできたのはなにやら箱を抱えたソルティさんで。
恐らくは、その箱の中に「掘り出し物」が入っているのでしょう。彼女は勢いよくも箱は揺らさないように、店の中を駆け抜け、しゅーちゃん先生とエレの元へ。
「ふふ、今度は何を見つけてきたのかな?」
「また、古そうなものですわね……」
「ふふん。聞いて驚け! これは古代に使われたと思われる……」
普段はやる気なさげなその瞳をきらきらと輝かせて、ソルティさんは饒舌に掘り出し物について語ります。
……そんなソルティさんをしゅーちゃん先生……「ラディッシュ」という名の女性は本当に微笑ましそうに。
まるでソルティさんの母親であるかのように見つめているのでした。
……下宿、というか。居候というか。同居というか。どれも上手く意味が合わないような気もしますが、とにかく一緒に住んでいるのでした。
「おはようございます。ソルティさん」
だから、今日も目が覚めて。一番最初に口にする名前はソルティさんの名前だったのですが……。
「おはよう。エレちゃん」
「……あら」
朝の身支度を終え、二階から階下に降りたエレを迎えたのはソルティさんではありませんでした。
そこにいるのは、きれいな青い髪を肩の辺りで揃えた女性です。
「しゅーちゃん先生。おはようございます」
「うん。……あ、ちなみにソルテちゃんは「掘り出し物見っけたから掘り出してくる! 文字通り!」って出ていったよ」
「それは、まあ……いつものことですが申し訳ありませんわ……」
「ううん、いいんだよ」
「しゅーちゃん先生」と呼ばれた彼女はそれはそれは良い笑顔を浮かべて、言うのです。
「そういうソルテちゃんのことが好きだから、いいんだ」
「……これもまたいつものことですが、盛大な「おのろけ」ごちそうさまです」
「あはは、おのろけかあ。エレちゃんは面白いこと言うね」
(……別に面白いことを言ったつもりはないのですが……?)
エレは若干の疑問符を浮かべてしゅーちゃん先生を見つめました。
しゅーちゃん先生はくすくすと笑っています。ときおり、「おのろけって……」と聞こえるので、なかなかにツボに入っているようです。
と、
ばたん! と大きな音を立てて、ソルティ・ミルクの立て付けの悪いドアが開きました。
「しゅーちゃああああん!! また面白いの見つけてきた……、あ、エレちゃんおはよう!! エレちゃんも見て見て! 今回はすごいよ!!」
そして、ものすごい勢いで駆け込んできたのはなにやら箱を抱えたソルティさんで。
恐らくは、その箱の中に「掘り出し物」が入っているのでしょう。彼女は勢いよくも箱は揺らさないように、店の中を駆け抜け、しゅーちゃん先生とエレの元へ。
「ふふ、今度は何を見つけてきたのかな?」
「また、古そうなものですわね……」
「ふふん。聞いて驚け! これは古代に使われたと思われる……」
普段はやる気なさげなその瞳をきらきらと輝かせて、ソルティさんは饒舌に掘り出し物について語ります。
……そんなソルティさんをしゅーちゃん先生……「ラディッシュ」という名の女性は本当に微笑ましそうに。
まるでソルティさんの母親であるかのように見つめているのでした。