憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。
和登さんのご両親が住まれているという、ベリが丘のノースエリアへとやってきた。
ノースエリアは古くからの富裕層の方が住まれているというイメージがある。
和登さんのお父さんは有名な企業の社長らしく、元々は花丘町に住んでいたらしいが、和登さんがベリが丘に移住するときに越してきたらしい。
車内で「親が稼いでくれていたから、海外の病院で働くことができた」と言っていたけれど、確かに医者になるにはお金が膨大にかかると言われているが、それ以上に勉強がとにかく大変だと聞く。
「和登さんが努力されたのでお医者さんになることができたんですよ」
そう言うと、和登さんは顔を赤くして笑っていた。
ノースエリアの和登さんのご両親のご自宅前にやってきた。一軒家のモダン風なお洒落な豪邸だった。ここに二人で住まれているのかと思うと、変な汗が滲み出てしまう。
チャイムを鳴らすと、羽倉家に仕えていると思われる三十代くらいの、黒髪で長い髪の女性がエプロン姿で私達の前に現れた。
「和登様、初めまして。こちらに仕えさせていただいている赤間さんと申します。あなたは……和登様の婚約者でいらっしゃいますか?」
私に問いかけられたため、「そうです」と返事を返すと、女性は一瞬顔を歪めた。
歓迎されていないということが分かった。