憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。


 お義母さんは眉間に皺を寄せ、不満気な顔で和登さんを見つめている。

「……あなたは、いつまでそうやって咲村さんに囚われて生きていくの。あなたが日本に戻ってきてくれて嬉しいけど、戻ってきた理由も『咲村さんが行きたかった街だから』って。亡くなってどのくらい経つと思っているの、結婚する女性も咲村さんのお孫さんって、本当、いい加減にしなさい! 私はあなた達の結婚は認めません!」

 否定されてしまった。

 お義母さんの顔色が変わったときからこうなることは予想ができていた。

 その強い眼差しは、自然と私に向けられる。

「亜矢ちゃん、あなたはまだ幼かったからあまりお祖父様のことは覚えていないかもしれないけれど、和登はあなたのお祖父様に囚われすぎている。いい加減開放してくれないかしら? 生涯困らないほどのあなたが望む金額お支払いさせていただくから。もう金輪際、和登に近づかないでいただきたいの。ベリが丘の街からも出て行ってちょうだい」


 『反対』はされると思っていた。

 けれど、ここまで嫌われているだなんて予想していなかった。

 どれだけ一緒にいたくても、和登さんとは一緒にいない方がいい。

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