憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。



「それでは、私は違う場所で待機をしておりますので、ごゆるりと行ってらっしゃいませ」

 莉緒香専属のドライバーさんに「ありがとうございます」とお礼を言い、車を降りる。

 莉緒香と一緒にお忍びBarの入口まで足を運んだ。外観は黒色と金色が印象的で怖気付いて足が前に進まなくなってしまった。

「亜矢、そんなに緊張しなくても大丈夫よ。リラックスして」

 莉緒香が私の背中を摩る。

「……う、うん。でも……私の格好変じゃないかな?」

 今更自分の格好が変ではないか心配でたまらなくなり、莉緒香に確認を求めた。

 莉緒香は私の全身に目を向け、「変じゃないよ」と言ってくれたため莉緒香の後をついていく。

 内装は黒く、通路は赤い絨毯が敷かれていた。

 高級感漂う空間に息が詰まりそうだ。

 莉緒香はロビーで受付を済ませた後、「こっちだよ」と私に手招きした。

 着いた場所は個室ではなく、オープン席。いかにもお金持ちのセレブといった人達が集っていた。


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