憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。
すかさず仁田先生に、
「私がこれがいいって言ったので!」
とフォローすると、仁田先生は「でも、ダイヤついてないじゃないー」と不満げな声を出していた。
お寿司と飲み物が揃ったところで、仕事で疲れきっている柳先生が祝杯をあげた。
「亜矢ちゃん、羽倉先生、事情が全く分からないのですが、ご結婚おめでとうございますー!」
その声に仁田先生がすかさず言葉を被せる。
「離れたくなかったんでしょ! めでたいじゃないですか! おめでとうございます!」
「ありがとうございます」
私達を見ていた仁田先生がお寿司を食べながら感極まって泣き出した。
「うぐっ、羽倉先生、一生結婚できないんじゃないかとおもってましたよー! ね、柳先生!」
「そうですね、世の女性がまた騒ぎそうではありますね。どうするんです? 結婚は公表するんですか?」
結婚……公表…………
『期間限定だなんて考えないで』と言われたばかりだが、世間に公表するとなると話は別だ。
「わ、私は公表しなくてもいいと思います」