憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。


「はーい!」

 仁田先生と柳先生の声がハモった。

 食べ終わり、婚姻届の証人の欄に仁田先生と柳先生の名前と印を頂く。仁田先生は婚姻届を見て「あれ?」と声を出した。

「羽倉先生、亜矢ちゃんの苗字になるんですか?」

 私の苗字の箇所に印がついていたため、仁田先生は不思議そうに尋ねた。

「そうなんです。仕事での名は変えなくても良いんで、『羽倉』で今まで通りですが、実は亜矢との結婚を親に反対されて絶縁に近い形となりました」

「あれまー、それは災難でしたね。そっかー、咲村かあ。うん、いいと思います、私は。ね、柳先生!」

「え? あー、ハイ。そうですね、俺もそう思います」

 興味なさげに頷く柳先生。

 和登さんは私の名になるつもりらしいが、私は未だ和登さんが『咲村』になることが違和感でしかない。

「ということは、約半年後の某国大使館のパーティには亜矢ちゃんも同席させるんですか? この間案内が届いたって言ってましたよね?」

「うん。検査が終われば結婚は公表するつもりだから、某国大使館のパーティには亜矢にも同席してもらいたいな」

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