憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。
半年後、私達は離婚している。
和登さんの言葉の意味が理解できずにおもわず、
「半年後……って」
と呟くと、和登さんは「ん?」と私に質問を返した。
離婚をするという事実を仁田先生と柳先生に隠した。
言えない、言えるわけない。半年後に離婚するんでしょ、なんて、仁田先生と柳先生の前では言えない。
「……いえ、なんでもありません」
結局、本当に結婚をするという報告しかせずに、私達は仁田先生達と別れた。
その後ホテルへ戻りお風呂に入った後、自分の部屋でベッドに寝転んだ。
婚姻届を書いて、結婚指輪を貰って、和登さんのお義母さんに会いに行って、仁田先生たちと御飯を食べて怒涛の一日だった。
また意識を失うように眠っていたようで、起きたときには夜中の三時だった。部屋から出てリビングに近づくと、和登さんの話し声が聞こえてきた。
電話で誰かと話しているようだ。
恐る恐る近づいて耳をすませる。
こんな夜中に誰と電話をしているんだろう。