憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。
あえて真ん中の席に着いた莉緒香。
テーブルは全席、大理石で作られた素材になっており、イスは座り心地が良さそうな厚みがあるイスだった。
莉緒香に言われるままに腰掛ける。カクテルと少量のパスタを頼み、ぐるりと中を見渡した。
天井には大きなシャンデリアがあり、窓は全面ガラス張りになっていて景色も最高だ。「あの窓、外からは見えないから安心していいよ」という情報を莉緒香は得意げに教えてくれた。
こんな高級なところに私がいるなんて場違い感が半端ない。莉緒香には悪いが、もう既にこの場所から出たい。
早く飲んで食べて、のんびり莉緒香の家でくつろがせてもらおうなどと考えていると、私たちが注文したカクテルと料理が運ばれてきた。
上に乗っているブツブツはなんなのだろうと思い、「これは?」と莉緒香に質問する。
「これはキャビアだよ」
「キャビア!?」
高級食材の名前を聞いて早々、ビックリする。
私の手持ちは三十万。これで一週間は余裕で乗り切れると思っていたけど大丈夫だろうか。
一人財布の心配をしていると、
「いやー、羽倉先生、今日のオペもさすがでしたよー! 血管の縫合は難しすぎます、それをあんなに早く! まさに神の手ですねー」
『羽倉』と名前を出した団体は私の隣の席へと腰掛けた。
……羽倉、先生?