憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。


 一番合いそうなプランを和登さんと一緒に選び、審査が通ると二、三日で新居には入居できるらしい。私達も引っ越しの準備を本格的にできることとなった。


「じゃあ明日、亜矢のご両親に挨拶しに行ったときに引っ越しの作業も泊まりで進めちゃおうか」

「あの、それは私一人でできます。全部私の荷物なので」

「だめ。俺達夫婦になるんだよ。俺も一緒に手伝わせて。ね?」

 「なんのために休み長く取ったと思ってるの」と言われ、無理にでも突っぱねる。

「和登さん、今休まないと、お仕事大変じゃないですか……」

 テレビの特集でも、羽倉先生の仕事場での一日を密着したりしていた。その映像からしてみても、日々とても急がしそうなのが見て分かった。

「俺は大丈夫だよ。亜矢といるだけで休めてるから」

 本当に和登さんは口が上手い。

 親に明日行くことを電話で伝える。『大切な人を連れてくる』と言っていたため、ご馳走を作って待っていてくれるらしい。そのことを和登さんに伝える。

「和登さん、お口に合わないかもしれませんが、うちの両親が料理を準備してくれるみたいです」

 そう言うと、「楽しみ」と微笑んでくれた。

 うちのお父さんとお母さんは和登さんを見てどういう反応をするのだろう。

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