憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。


 無事に赤間さんと合流した。

 タクシーから降りてきた赤間さんはハットのような帽子を被っており、スーツケースが一つと鞄が一つ。どことなく上品な服装だ。

「咲村様、今日からよろしくお願いします」

 頭を下げられた私は、頭を下げ返す。

「よろしくお願いします」

 和登さんが手続き含めてテキパキと動いてくれたため、特別赤間さんにお願いすることはなにもない。

「短い間ではありますが、咲村様のお部屋でご一緒するにあたり必要なものは買い込んでまいりましたので」

 そう言ってそこそこ大きい箱を一つタクシーから下ろす赤間さん。器用に片手の手でスーツケースを引き、もう片方の腕でダンボールを抱えて歩き出した。

「あ、あの、赤間さん! 私も持ちます!」

「いえ、咲村様にそのようなことはさせられないのでお気になさらず」

 どこか棘があるような赤間さん。

 打ち解けられる気がしない。


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