憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。
「では、何でもこの私にお申し付けくださいませ」
家の中へ入った赤間さんに、
「はい。えっと……寝るところは……」
和登さんに寝てもらっていた布団を貸すわけにもいかないし、と、悩んでいると、赤間さんは先程持ってきていたダンボールを開けた。
「心配なさらなくて大丈夫です。寝袋を購入してきましたので。あと携帯用の歯ブラシやシャンプー、トリートメント等も所持しておりますので、赤間のことは気になさらずに」
さすがは使用人とでもいうべきか、生活するうえでの準備は全て整っていた。この部屋であと一週間私は赤間さんと過ごすことになる。
「咲村様、ご飯の準備致しましょうか」
私の身の回りのことは、全て咲村さんがしてくれるようだ。
「あの、赤間さん。和登さんはあちらに一人で大丈夫なんでしょうか? 和登さんこそ誰かが側にいた方がいいと思うのですが……」
そう尋ねると、赤間さんは不服そうに頷いた。
「本当は和登様の家に住み込みとして働く予定だったのですが断られてしまいました。咲村様がいないのに、使用人といえど、別の女性と住んでいいわけがない、と……」
赤間さんは、和登さんから言われたであろう内容を話しだした。