憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。


 和登さんの気持ちも分からなくはない。

 私も赤間さんからの本心や羽倉家が何を考えているのかを聞かされなかったら、何を企んでいるのだろうと、未だに怪しんでいたと思う。

 けれど、赤間さんは羽倉家から課せられた使命のために、和登さんには真実を言うつもりはないらしい。

 目の敵で見る和登さんに対して意地になる赤間さん。

「安心してください。私は私に与えられた仕事をちゃんとするまでです。なので、住み込みで雇っていただけますか?」

 赤間さんの意地に負けた和登さんは、ハァと、深くため息を吐いた。そんな和登さんに、

「和登さん、私、赤間さんと結構仲良くなったんです。一方的で勝手ではありますが、私は赤間さんのこと友達だとも思っています。赤間さんに優しくしてください」

 追い打ちをかけるようにお願いする。

 和登さんはまた深く息を吐き、タクシーの運転手にタクシー料金を支払った。

「……分かった。赤間さん、うちで住み込みで働いていいよ。ただ、半年間限定の契約で。それから先は責任持たないので、そのつもりでよろしくお願いします」

 私の圧に負けた和登さん。

 これで赤間さんが私の新居で働けることが決まった。


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