憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。


「ただでさえ仕事で泊まり込みも多いのに。その上で赤間さんもいたんじゃ、俺いつ亜矢に触れていいの」

「――え?」

「こんなことになるなら、意地張らないで抱いときゃよかった」


 力いっぱい抱きしめる和登さん。苦しくなるほどに体を密着させている。そんなに抱きしめられたら抵抗できない。


「半年間は健全なお付合いになりますね。でも、その方が和登さんも後腐れなくていいんじゃないでしょうか」


 つい、嫌味っぽいことを言ってしまったけど本音だ。私達が離婚をすることは変わらない。


 正直、私も和登さんからあんな目で見つめられたら我慢できそうにはないけれど、赤間さんがいるのなら話は別だ。


 ――離婚をするまで私達は何もしない。そう決意を固めたのに、

「後腐れなくって、なに? 分かった。亜矢がそのつもりなら手加減しない。毎晩イヤっつーほど抱くから覚悟して」

 和登さんのその言葉に体が強張る。


「えっ!? 赤間さんがいるんですよ!?」

「赤間さんの部屋を寝室から遠くすればいい。……つーか、俺達もう夫婦なんだし、何を気にする必要があるんだよ。抱き合わない方が普通に心配だって」


 和登さんは我慢を切らした顔で私を見つめる。そして、唇にキスを落とした。ゆっくりと舐めるようなキスから次第に荒々しくなる。脳みそまで気持ちよさでいっぱいで何も考えられなくなる。



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