憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。
「って、いっても、10ミリ以下の場合は位置にもよるんだけど、破裂確率は年間0.14〜3.19パーセントだから、まだ今のところは少ないかなって感じかな。10ミリ以上はいつ破裂してもおかしくないから即手術した方がいいんだけどね……なんせ亜矢ちゃんの脳にできている脳動脈瘤は解離部位といってね……場所が悪いね」
「……そう、ですか……」
暗い顔をする私を見た赤間さんも仁田先生に「どうしたらいいんでしょう?」と、問いかけた。
「場所も場所だし、今のところは経過観察になるとは思う。って、亜矢ちゃんそんな顔しないで。皆受診しないだけで、脳ドックで異常が見つかる人は60パーセントって言われてるんだから! むしろ半分以上が見つかってるんだからさ」
仁田先生は私を慰めようとしてくれているが、動揺してしまってどうしたら良いか分からなくなっていた。
私の脳動脈瘤は場所が悪いため、手術が難しく経過観察になると言われているのだから。
「……ですが、うちの両親は二人共脳ドックは異常なかったと言っていたので……混乱してしまって、スミマセン」
感情と言葉が一致しない。
私の両親は大丈夫だと言っていたから、私のめまいは過労だと思いこんでしまっていた自分が惨めに思える。