憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。


「詳しくは結果報告書がご自宅に届くので確認してね。手術が難しい場所となると合併症や後遺症のリスクが高いんだよね……」

 言葉が出てこない私に仁田先生は優しく教えてくれた。

「……ありがとうございます。一つ聞きたいのですが、もし仁田先生の脳に私と同じ大きさで同じ場所の脳動脈瘤が見つかったらどうしますか?」

 仁田先生は悩まずに、

「決まっていることは一つあるわね。羽倉先生に任せる」

 と、答えた。

「羽倉先生はオペは凄く上手いから。カメラを回しながら手術をしてもらいたい、そしたら何回でも手元を復習できるし、まぁ所詮私は上手い人の技術をもっと盗みたいだけの医者なんだけどねー」

「……合併症になるかもしれないのに、ですか?」

「皆が皆破裂するわけではないんだけど、どっちにしろ放置してても良くないことは確かだから。ベリが丘総合病院の脳外科オペ時の後遺症患者は羽倉先生が来てから減ったから。まあ、後遺症や合併症も運みたいなところはあるんだけどね。私だったら羽倉先生の手術に賭けるかな」


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