憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。


 羽倉先生は私のお爺ちゃんが亡くなってからお医者さんを志すことを決めた。

 たくさん勉強して、医大に入って、医師免許を取得して海外でたくさん経験を積んで日本へ戻ってきた。そして、今、このベリが丘の地で一人でも多くの患者さんを救おうと頑張ってくれている。

 和登さんは私と離婚したら、お爺ちゃんのことは綺麗サッパリ忘れて、新しい人生をスタートすると言ってくれていた。

 私と約束してくれた。

 私も和登さんに手術をしてもらって、結果がどうであれ残りの人生を頑張って生きていきたい。

 ーー私を診察してくれたのが仁田先生でよかった。


 検診着から私服へ着替えた私は、窓口で清算し病院を後にした。

 「亜矢様、今タクシーを呼びますね」と、スマホを鞄の中から取り出す赤間さん。そんな赤間さんに、

「たまには歩いて帰りませんか? 私、赤間さんに話してないことがあったんです」

 なんで和登さんと結婚できたのかを話そうと決意した。

< 169 / 229 >

この作品をシェア

pagetop