憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。
赤間さんは私の脳を心配してくれているのか、「ですが、亜矢様……」と、言いかけてはやめてしまった。なので私が話す。
「友達だった子がこのベリが丘に住んでたんです。その子と一週間一緒にいるためにこの街へ来ました。でも怒らせちゃって、無一文になっちゃって。困ってた私を和登さん達が助けてくれたんです」
「……そうだったのですか」
「私がお爺ちゃんの孫の亜矢って知られたからか、凄く心配させてしまって。脳ドックが終わるまでこの街で契約結婚をすることになりました」
「契約結婚」この単語を聞いた赤間さんは、え?と、険しい表情を浮かべた。
無理もない。呆れられても仕方がない。
「だからもう、この結婚生活は終わり。和登さんの苗字はちゃんと羽倉になるから。和登さんのお義母さんに『和登さんのことは心配しないで』って伝えてもらえませんか」