憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。


 あの場で一緒に診察を聞いていた赤間さんにも心配をかけてしまっている。

「手術が難しいことは仁田先生の説明で分かったので。一度和登さんとも相談してみることにします。ただ、和登さんが担当してくれるかは分からないですけど……」

「担当してくれますよ。和登様がご自身の結婚を公にしないのは、亜矢様の脳の手術をする可能性があったからでしょう? 亜矢様の亡くなったお爺様のためにも、私は和登様に手術をしていただきたいです。でなければ、和登様は何のために医者になられたんですか……」

 ギリッと悔しそうに歯を食いしばる赤間さん。

 赤間さんは私より周りのことを理解してくれている。だから優れた使用人でいることができるんだと思う。

 診断の結果報告書が正式に届いたら和登さんに相談してみよう。その前に、

「赤間さん。一か所寄りたいところがあるのですがいいですか?」

 ーーこの足で今からベリが丘の役所に離婚届けの用紙を取りに行く。


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