憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。


 突然のことで頭が追い付かない。

 確かに半年後離婚すると約束の元、亜矢と結婚したけれど。今そのことを言われるなんて思いもしなかった。

 この半年間で亜矢も俺との今後を考え直してくれると思っていたけれど、それは俺だけだった。

 俺だけがこの半年間浮かれていた。

 俺だけが今後も亜矢と一緒にいられると思っていた。

「俺は亜矢のことが大切だよ。それは出会った頃と何ら変わらないし、むしろあの時よりどんどん気持ちが大きくなってる。亜矢は? 俺のことは重荷でしかなかった? この結婚生活、早く終わればいいなって思ってた?」

「…………」

 俺の返事に答えてくれない亜矢。

 俺の何がいけなかったのか、何がダメだったのかを言ってほしい。そしたら、もう不快な思いは今後絶対にさせない。

 亜矢が話してくれないので憶測で話す。


「……家事とか料理とか、赤間さんがいるとはいえ亜矢も手伝ってくれてたし、俺そこまで手が回せなくてごめん」

「いえ……和登さんもたくさん手伝ってくださいました」

「……生活費が少なかった?」

「いえ、とても多いくらいです。休みの日は和登さんも疲れているだろうに、たくさんいろんなところに一緒に出かけて美味しいもの食べて幸せでした」

 『幸せでした』この言葉に涙腺が緩む。

「亜矢は……俺のこと好きになれなかった?」

 未練がましく問いかける。

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