憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。



「ここでご質問にお答えいただこうかと思います! 羽倉先生が医師を目指したきっかけはなんですか?」

 長い巻き髪で綺麗な茶髪が特徴的の女性記者は、顔を赤らめて羽倉先生にマイクを向けた。

「僕は小さい頃、脳に腫瘍ができたんです。その時に担当して下さった主治医の先生のおかげで腫瘍を全摘出していただき、幸い後遺症はなく一命を取り留めました」

「では、ご病気がキッカケだったのですね?」

「はい、そうですね。脳の病気はある日突然、いきなり発症するんで、めまいや立ち眩みや吐き気など、体に異変をきたしたら脳が原因の場合が多くあります。人間ドックを受けるおまけでも良いので、テレビをご覧の皆さん、脳神経外科や脳神経内科へ受診をされてください。因みにベリが丘総合病院は脳に限らず全国から優れたドクターが働いてます。ぜひベリが丘総合病院までご連絡ください」


 プラスαで付け加えて返ってくる羽倉先生の答えに、さすがだなと関心していると、女性記者は大きく頷き、「ありがとうございます! 次の質問に移ります。先生はご結婚されていますか?」これが本来聞きたかった質問なのだろうと思う問いを投げかけた。


 羽倉先生は顔色一つ変えることなく、

「結婚してないです。恋人もいないですし、なんなら医大に入ってから彼女いないですね。まあ、今の僕は仕事が恋人みたいなもんですね」

 と、笑いながら答えた。

 ……仕事が恋人。

 こんなにかっこいいのに、ずっと彼女がいなくて仕事一筋なんて。こんな人、本当に実在するんだ。


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