憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。
あの、古くから富裕層が集まり格調高い街として知られていた、皆が憧れる街ベリが丘に行けるなんて夢みたいだ。
嬉しくてそのことが頭から離れなかったが、莉緒香に今一番言わなくてはいけないことを思い返す。
「莉緒香、結婚おめでとう!」そう伝えると、「ありがとう」声のトーンで莉緒香の嬉しそうな様子が伝わってくる。
その後莉緒香と三十分ほど通話をし、電話を終えた。
なんでも莉緒香の住んでいるエリアはベリが丘駅に位置する、櫻坂の行き止まりの門には守衛さんがいるらしく、高級住宅街の住民や関係者以外立ち入り禁止らしい。
なので、ベリが丘駅に着いたら迎えに行くから連絡してほしいと言われた。
さすがはセレブの街だ。
明日来ていいよと言われ、莉緒香の新居にお邪魔するべく、自分が持っている中で値が張った衣類をスーツケースに詰めていく。
一週間もベリが丘にいることができるんだ。
ベリが丘総合病院には行けないけど、運が良ければ街でばったりと羽倉先生に出くわすことがあるかもしれない。
そんなよこしまな気持ちが私の心を支配する。