憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。
「でも時間も時間だし、いくらタクシーを呼べたとしても家に入るまでになにかあるかもしれない。元々ここに住んでる友達の家に遊びに来たんなら、まだゆっくりできるんでしょ?」
「一応一週間は滞在する気持ちで来ましたが……」
「それなら、急いで帰る必要はないよね? それとも、仕事ある?」
「いえ、過労が原因で辞めたばかりで。今は療養中です」
「じゃあ俺と一緒にいてほしい。俺と一緒にいて、亜矢ちゃん」
亜矢ちゃんは困惑した表情になってしまった。
今までこんなに一生懸命女性を誘ったことはない。誘われても気乗りする時だけ「まあいいか」的なノリで一夜を過ごすことはあった。
誘った側になって初めて、断られることがこんなにも怖いことだと知った。
もう気乗りするときだけの付き合いはやめる。
もう、俺には彼女以外必要ない。