憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。



 ベリが丘の街には三つのエリアがある。


 富裕層の大企業や御曹司が住まうノースエリア。

 富裕層以外の一般住宅が立ち並ぶサウスエリア。

 全室オーシャンビューテラス付きのラグジュアリーホテルが立ち並ぶビジネスエリア。

 仁田先生は元々大手の家柄の出らしく、お住いはノースエリアに位置していた。

 柳先生は羽倉先生同様、元々外からきたお医者さんらしく、自宅は一般住宅が立ち並ぶサウスエリア。

 それぞれ送り届け後は羽倉先生の住まいに向かうだけになっていた。

「羽倉先生はどこに家があるんですか?」

 そう聞くと、羽倉先生は「俺、家事とかできないからさ」と前置きをし、

「ビジネスエリア。ホテル生活してるんだ。ホテルの人が部屋の管理もしてくれるから、つい甘えちゃって。それに、すぐに職場にも行ける距離だしね」

 羽倉先生はまさかのホテル生活をしていた。

「ホテルってことは……まさか、ビジネスエリアにあるホテルですか?」

 そう尋ねると、羽倉先生は「そう」と頷いた。


「テラス付きのラグジュアリーホテル。広い部屋を借りてるから亜矢ちゃんも苦なく過ごせると思う」


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