憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。


 ◆


 羽倉先生が「ここ使っていいよ」と言ってくれた部屋に自分の荷物を置く。

 ここだけで広さは約八畳ほどあり、この部屋も一面ガラス窓となっており、開放的な作りになっている。部屋には大型の液晶テレビとソファとテーブルとベッドが設置してあり、棚やクローゼット、ベッドの横にはフロントなどに繋がる電話も設置されていた。

 通常のホテルはこの広さの部屋のはず。この部屋はほんの一部だなんてびっくりする。

 私が部屋で荷物を置いたりしているうちに、羽倉先生から「お風呂沸いたよ。入っておいで」と呼ばれた。『何かしら役に立ちたい』と思っていたのに、結局迷惑をかけてしまっている。

「風呂から上がったらこのバスローブを羽織るといいよ」

「お借りします」

 羽倉先生からバスローブを受け取り、自室に置いたスーツケースから下着類を取り出し、お風呂場へと足を向ける。

 浴室内は暖房が効いていて温かく、大きいジャグジーバスが備え付けられており、泡がブクブクと湧き出ている。

 なにより、窓から見える景色が煌びやかで美しすぎる。ベリが丘の景色を映し出していた。


< 49 / 229 >

この作品をシェア

pagetop