憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。
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スーツケースを手に持ち、社会人になって買った高級バッグを身に着ける。バッグから財布を取り出した私は、貯蓄していたお金を切り崩し三十万円分の札束を財布に直した。
これだけあれば、庶民の私でも一週間はなんとかなるはず! そう意気込みながら、持っている服の中で一番値が張った暖かいコートを準備し、ブランド物の服装に着替える。
こうして準備を整えた私はベリが丘の街にバスで向かった。
ネットで羽倉先生を調べていたら書籍を一冊出されていたために、本屋で購入し、合間合間に莉緒香には心配かけないように連絡を送る。「次はベリが丘駅ですーお降りの方は降車ボタンを押してください」というアナウンスと共に降車ボタンを押した。それだけでバスの車内がザワついた。
ベリが丘の街は今は富裕層以外の一般住民もサウスエリアに住むことができるが、それでもバスを利用する人は珍しいらしい。
ベリが丘駅で降りるというだけで、こんなにも緊張するだなんて思ってもいなかった。
改めて、品の良いブランドの服やバッグを持っていて良かったな、と、過去の自分を心の中で褒めちぎる。