憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。
湯船に浸かり今日一日を振り返る。
莉緒香のところに遊びにきたはずだったのに、何故か今は憧れの羽倉先生の部屋にお邪魔しているなんて、昨日の私は思いもしなかった。結局、莉緒香の旦那は出張に行っているのか行っていないのかは分からない。
今日が終わればまたいつもの日常に逆戻りだ。莉緒香のことでお金もたくさん飛んでいったし、残貯金もそんなにない。もう、立っているのが辛いなんて言い訳はできない。
帰ったらすぐに職を探そう。
お風呂から出てバスローブを羽織る。広すぎる洗面所でドライヤーなどをお借りし部屋へ戻ると、リビングで羽倉先生がパソコンを広げて作業をしている姿が見えた。
時刻はもう夜中の三時を回っている。時間も仕事をしているようだった。羽倉先生はいつも何時に寝るんだろう。
「羽倉先生、お風呂お借りしました」
私が顔を出してすぐにパソコンを閉じた羽倉先生。大きく背伸びをして立ち上がった。
「じゃあ次、俺入ってこようかな。何か飲み物いる?」
「いえ、大丈夫です。ここで待ってますね」
「うん。時間も遅いし、眠かったら寝室に行っていいからね」