憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。
「待たせてごめん」と言いながら頭をワシャワシャとタオルで拭いて出てきた羽倉先生の部屋着は灰色のスウェット姿と、とてもラフな格好だった。
「もう四時になるし、いい加減寝ようか」
さっきまでパソコンで作業していたけれど、
「羽倉先生、お仕事してましたけど今日は寝れるんですか?」
そう尋ねると羽倉先生は私の横に腰掛けた。
「うん、今日は部屋に戻ってきたからここで作業してただけ」
「いつも部屋には戻らないんですか?」
「結構ね、病院内に泊まり込んじゃうんだよね」と言いながらも、「とりあえず今日片さなきゃいけない仕事は終わったから」と、パソコンを片しながら答えてくれた。
首を触る動作をしていることから、相当疲れが溜まっていることが見てとれる。
前職は美容のアシスタントをしていたため、頭皮のマッサージくらいは担当させてもらっていた。
「ベッドに横になられたら上半身だけでもマッサージしましょうか?」
そう問いかけると、羽倉先生は肩に手を当て「肩こりがひどくてさ。お願いしちゃおうかな」と、立ち上がった。