憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。


 そっと羽倉先生の体に触れる。

 首の下を触ると、とてつもなく張っていた。首コリには後頭下筋群をマッサージすると効果的なため、そこを中心にほぐしていく。

「きもちいい」

 先生の男らしい、色っぽい声が耳に響く。こんな声を出されたら、手を出したくなる人も出てきそうだ。

「せ、先生……失礼ですが、普段マッサージは?」

 心配になり聞いてみると、「してない」と否定した。

「一応ホテル内にもそういうサービスがあるんだけど、時間的に終了してたり、なかなか呼べなくて」

「安心しました。先生は人にマッサージをしてもらうのは避けたほうが良いかと……」

「…………そんなに凝ってる?」

 凝りに関してはとても凝ってはいるが、そういう問題ではない。

「先生のお声やお顔があまりにも色っぽいので……その、勘違い起こす人も出てくるかもなあと」

「ハハッ、何言ってんの。そんな人いないから」

「先生はもっと自分に魅力があることを自覚した方がいいです!」

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