憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。
朝目覚める頃には羽倉先生の姿はなく、サイドテーブルにメモ紙とブラックカードと白い封筒。封筒には現金も渡しとくねと書かれてあり、中身を確認すると、百万円が入っていた。ビックリしつつもすぐに封をする。
メモには羽倉先生の番号とアドレス。それと、この現金とブラックカードは利用条件がないから好きに使っていいとのことで、ブラックカードを持つと下に部屋のカードキーが置かれていた。
どこまでも至れり尽くせりな羽倉先生。
メモには「おはよう。今日は当直だから帰りは明日の朝になります。起きたら連絡してね」と書かれてあった。
羽倉先生の字は綺麗だ。現金だけで十分すぎるほどたくさんあるし、さすがにこのカードは使えない。けれどこのカードをここに置いておくわけにはいかず、そっと自分の財布の中にカードをしまい、白い封筒もバッグの中に入れた。
時計を見ると十時を回っていた。寝たのは四時近くだったけれど、羽倉先生はいったい何時に家を出たのだろう。
ちゃんと休めたんだろうか。
そんなことを考えていると、部屋のドアをノックする音が聞こえたため、急いで入口に駆け寄る。
なんでも十時三十分から十四時の時間帯で部屋の清掃を順次しているようで、部屋の掃除はどうするのかを聞かれたためにお願いをする。