憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。
「病院は?」
「行きました。ストレスからきてるって言われました。だからしばらくは体休めてって言われて……」
「そうなのね……目眩や立ち眩みなら、一度うちの病院で受診してみない? ストレスじゃないかもしれないし、もしかしたら他の病気があるかもしれない」
他の……病気。
自分が病気だなんて考えたことなかった。
「脳ドックで病変が有るかどうかを調べるの。検査といっても痛くないから大丈夫よ。まあ血液検査で針を刺すくらいは痛むけど」
「で、でも……羽倉先生に知られたくないです……」
「後々は知られちゃうことになるから、どっちにしろ一緒よ。羽倉先生の気持ちを考えたら内緒で検査はしてほしくないだろうけど」
「はい…………」
「そんな深刻にならなくても大丈夫よ。ただの検査だし。費用は私が出すわ」
「――い、いえ! 自分で出せるので!」
「そう? 分かった。めまいや立ち眩みが前よりって酷いって教えてくれたしできれば早めがいいな」
「……分かりました。ありがとうございます」
病気……そんなわけない。そんなことあるはずない。