憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。
その仁田先生のメッセージにホッと肩の力が抜けた。俺のスマホの画面を横目で盗み見た小川くん。
「仁田先生からですか? 羽倉先生って仁田先生と仲いいですよね! 付き合ってるんですか?」
ノリノリで話しかけてくる。盗み見たことについては悪気なしだ。席が隣ということもあって非常にやり辛いが、質問されたので答えることにする。
「仁田先生とは仕事仲間。ただそれだけ!」
「へー、つーかこの子カワイイですね」
俺が昨夜隠し撮りした亜矢ちゃんの壁紙を指差す小川くん。
「……もしかして羽倉先生の妹ですか!? 今度紹介してください!」
「そんなわけないだろ! ほら、キミも研修医といえど先生なんだから! 仕事はしっかり頼みますよ、小川先生!」
小川くんは『先生』と呼ばれたことで機嫌を良くしたのか、「はい!」と、嬉しそうに返事を返した。
…………疲れるな。
世代とのギャップかな。だとしたら俺も若くはないなと思いながら、スマホを直しパソコンの画面に目を向け業務に戻る。
一日のスケジュールを把握する。今日はオペが二件。そのうち一件、本田先生の助手に入る。