再会した総長の溺愛は止まらない。
彼は驚いたように一瞬瞳を大きくさせたが、すぐに黙ってしまった。

ある程度の顔の固まった血はふき取ったはずだ。


「ごめんね、私今絆創膏しか持ってなくてここまでしか手当てできないや」


すると、また抱きしめてきた。

今回はさっきよりも優しく包み込むように。


「...こわく、ないのか」


青年がボソッと呟くように言った。

別に怖くもないし、嫌でもなかった。


「最初は怖かったけど、今は怖くない心地いいよ」


私は青年の顔が見えないぐらいに抱きしめられていたから、どんな顔をしていたのかはわかんない。


「そう、か....ありがとう」


青年が優しい声で言ってくれたから、なんとなく気持ちはわかった。
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