愚かなキミの、ひと目惚れ事情。【完】
01.
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言われてみれば、小さい頃からどこか人と違っていた気がする。
例えば友達がみんな口を揃えて「可愛い」と言ったものを、実際に「可愛い」と思ったことはなかったし、流行りのヘアスタイルやファッションが「素敵」だなんて微塵も思えたことはなかった。
そんな、"周りのみんな"が引いた《平均》という線に入れなかった私が、何かをヒソヒソと囁かれることは必然だったし、そもそもどんな痛罵を浴びせられようと知っちゃこっちゃないし、『キミはどこか人と違った感性を持っているようだ』なんて、まるで定型文のような誉め言葉をもらっても救われることもなかった。
私にはただ一つ、コレがあればよかった。
人が人に認められるために努力して、精一杯の見栄を張ることと同じ。
私が私を保っていられるモノはこの世界で唯一、この《筆》だけだった。
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