愚かなキミの、ひと目惚れ事情。【完】
大金を払ってまで聞き出すほどのモノを、生憎私は持ち合わせていない。
高く高く積み上げて積み重なっていた私のプライドも、誇りも全て、もう捨てたんだ。
捨てるしか、なかったから。
だからガラスケースの中でキラキラと光るリング達を目の前に、「好きなの選んでいいよ」と言って話すための口実を買い取ろうとする彼に面と向かって言う。
「こんなことしなくても、全部答えるから」と。
「本当にいいの?女の子ってみんなこういうの大好きじゃん?ここぞって時に買ってもらわなきゃ損するよー?だから、ホラ」
「要らない。こんな私の手に、何を着飾ったところで意味はないから」
「……なるほどね」
自分で言って、情けなくなる。
どうしようもないから、自分で自分を嘲笑うことしかできない。